ところが彼はまるで一国の将軍とばかりに次々と技を覚えて強くなり、違った方向へ進んでいくのです。
それは都督からすれば思いも寄らぬことで、そんな影武者の行動が出過ぎた真似に見えたのでしょう。
しかし皮肉なことに彼は最後自分が王にしてみせたように腹心の部下であった影武者に裏切られました。
彼の人生は置かれた環境や立場がそうさせたとはいえ裏切りの人生であったといえます。
ラストで残された小艾がしたこと
壮絶な裏切りの末、小艾はおろか受け手すらも裏切る形で戦いは影武者の一人勝ちとなりました。
ある意味王が約束した影武者と小艾の自由は解放されましたが、これは望んだことなのでしょうか?
ラストで残された彼女がしたことの意味を考察していきましょう。
扉に走り寄る
まず小艾がしたことは影武者が開けた扉に走り寄ることでした。
とはいえ彼女は最初からこれを望んだわけではなくあくまでも結果論でしかありません。
もし心底から望んでいれば影武者と共に喜んで将軍達の前に出ていたことでしょう。
しかし、彼女が影武者を心配したのはあくまでも死なないかどうかということだけでした。
決して影武者のことを心底から愛していたわけではなく、彼女の心はあくまで都督にあります。
故に彼女は気後れした形で彼についていくことになるのです。
扉の向こうへ行けない
しかしだからといって小艾はその扉の向こうへと乗り出していくことができません。
これが意味することは彼女が都督になりすました影武者を止められないということです。
まだまだこの時代は女性が権力を握っているわけではなく、彼女に国を動かす決定権はありません。
だから影武者が新たな王となることを彼女自身拒むことは出来ないのです。
時代の変わり目を目の当たりにしていながら何も出来ない無力さだけが募ります。
傍観者のまま
影武者の傍で身を震わせていた小艾は傍観者で居ることしか出来ないのです。
もし小艾が影武者が語った王と都督の殺し合いの真相を話せば只では済みません。
その時こそ彼女は影武者に刺されて一巻の終わりではないでしょうか。
全く嫌がっていなかったことから影武者の妻となることへの抵抗はないようです。
しかし、その為に王と都督を裏切って殺すことまでは想定していませんでした。
こうして彼女が傍観者になったことで真実は闇に葬られたのです。
影武者のその後
影武者は命辛々生き延び、自ら都督を名乗り出て遂に影武者ではなくなりました。
一見大団円のようですが、果たして彼のその後はどうなるのでしょうか?
あらすじを振り返りつつ彼の将来を考察していきましょう。
小艾を妻に娶る
まず最初に予想出来るのは小艾を妻に娶ることです。
これはずっと長い間思い人だったこともあり、ラストで彼女の腰に回した手が全てを物語っています。
小艾も憎からず思っていたようですし近い距離に居ましたから特に問題はないでしょう。