誰にも助けてもらえない現状をいつものように一刀両断にしてほしかったのかもしれません。
その時の犯人は澄田にこう言ってもらうことを期待していたはずです。
『こんなブラック企業で働く人の苦悩は社会全体で問題にするべき課題です。店長さんすぐに改善してください!』と。
犯人は社会性や公共性など関係なく、ただ自分を救い出して欲しかっただけなのでしょう。
封筒をスタッフに託した真意とは
犯人からの手紙は当然警察の取り調べで出ていますから澄田も内容は知っているはずです。
番組が打ち切られる予定の澄田にはどうしようもありませんし今回のことで処分を受ける可能性もあります。
『犯人から澄田に渡されるはずだった手紙』は番組の目玉になることは明白です。
澄田は命を賭けてとってきたネタを自分がいなくても上手く使って欲しいと考えてスタッフに渡したのでしょう。
封筒の裏にきちんとフルネームを書いていた犯人。なんだか親しみを感じてしまいます。
犯人はなぜ澄田を要求したのか
人質を楯に立てこもるなど極悪非道な犯人に同情する余地などありません。
しかし少なからず彼の思いを理解しようとする気持ちを持ってしまうのは濱田岳の演技力の賜物です。
その犯人はなぜ澄田を呼ぶことを要求したのでしょうか。
犯人は澄田を憎んでいるのか
犯人は澄田を憎んではいません。心のどこかではまだ『正義の味方澄田キャスター』なのです。
『テレビでの顔』が澄田の全てだと勘違いしているから裏切られたと思ってしまいました。
この考えは社会的にも広く知られているファン心理です。
著名なハリウッドスター達がボディガードに大金を掛ける理由の一つはこの心理への対策でしょう。
ただし澄田キャスターは自分を芸能人とは思っていませんから無防備でしたね。
澄田を利用するテレビ局の思惑
澄田が犯人の要求に戸惑っている時チーフディレクターの秋吉が言います。
「澄田さん。謝っちゃいましょう。みんな注目してる。反省したフリ」
引用:グッドモーニングショー/配給会社:東映
テレビは映っていることが全てなのです。
澄田の本心やプライドなど視聴率をとるためなら無視するのがテレビマンの正義なのかもしれません。
そのことは澄田自身も十分承知していますので『顔に泥を塗った事件』で言い訳しなかったことに繋がっていきます。
澄田が中継現場で顔に泥を塗った真相
澄田はかつて夜の報道番組で大きなミスを犯していました。
それを機にワイドショーに移った澄田ですが現場にいた女子アナが真相を話し澄田の名誉は回復します。
なぜ澄田は顔に泥を塗った真相を自分では語らなかったのでしょうか。
テレビの持つ影響力
澄田がなぜ災害現場で笑いながら顔に泥を塗ったかは女子アナの発言で明らかになりました。
しかしテレビは映っていることが『事実の全て』として流れるという特性を持っています。
子供を勇気づけるためだから許される行為とはならないのです。