仮に酷い父親ならば、家族はもっと荒んでいたでしょう。
長く父と過ごし、父の家族との接し方を見ていたからこそ自分も同じように家族に優しく接する。
そうして心の中に広がった優しさが、炭治郎を形作りました。
倒した鬼の手を握った理由
最終選別で倒した鬼の手を炭治郎が握ったのは、鬼にされてしまった禰豆子の存在があったからです。
禰豆子が鬼にされたことで、炭治郎は鬼が人間だったことを知りました。
心優しい禰豆子ですら凶悪に変えてしまう鬼の力。
鬼が残虐非道なのは、あくまで鬼の力のせいだと炭治郎は知っていました。
だからこそ、炭治郎にとって鬼は敵ではあってもあくまでの同じ人間だったのです。
自分が手にかけた鬼は、禰豆子が辿ったかもしれない未来の可能性でもあった。
家族の中で育まれてきた優しさと禰豆子がいたからこそ、炭治郎はそのように感じることができました。
狐面の少年と少女の正体
師匠・鱗滝から大岩を斬る試練を与えられた炭治郎。彼の前に現れた狐面を被った少年と少女の正体は何でしょうか。
狐面の正体
狐面の少年の正体は、かって最終選別で死亡した鱗滝の弟子・錆人です。
そして、同じく狐面を被った少女の正体は同じく鱗滝の弟子・真菰でした。
より正確にいえば二人の魂がその正体です。
最終選別で死亡した二人の魂は、その後も現世に留まり続けていました。
狐面は能楽や神楽で神様の使いとして狐が登場する場面で使われる物。
現世の存在でないからこそ、二人が付けている面は狐だったと推測できます。
二人の存在が意味すること
それが起こったということは、それだけ二人の無念が深かったことを意味しています。
二人を殺害した手鬼は鱗滝の他の弟子も殺害していました。
それは手鬼の個人的な感情からでしたが、何人も殺されているからこそ錆人たちは炭治郎を自分たちの二の舞にするわけにはいきませんでした。
二人は殺された弟子全員の無念を背負っていたのです。
錆人たちの本当の思い
手鬼に殺された錆人たちですが、彼らが晴らしたかったのは自分たちの無念だけではありません。
師である鱗滝の自責の念です。
大岩を斬った炭治郎に鱗滝は最終選別に行かせたくなかったと告白しました。
この言葉から、鱗滝は弟子の死に責任を感じていることが伺えます。
鱗滝のことを愛していた錆人と真菰にとって、自分たちのことで師が苦しむのは耐えられなかった。