まず最初に考えられるのが、ドラゴン達が身を守るために造り上げたシェルターという意味です。
幻の聖地は名前の通り、ヒック達が発見するまでは、バイキングの間で広まっていた言い伝えのなかでしか存在しなかった場所となっています。
海にできた穴から続いた場所であり、聖地の中は、人間が立ち入った形跡となりうる人工物や植物などが一切ない無機質な世界です。
人間が幻の聖地に行くためには、ドラゴンに乗って空を飛ぶという方法でしか訪れることができません。
さらに、ドラゴンのみが感じられる気配をたどっていく必要があるのです。
作中においても、ヒックとアスティがトゥースを探しに行った際に、ストムフライが突然何かの気配を察知し、導かれることで存在が発覚しています。
「幻の聖地にはドラゴンしか行けない」という点から考えると、聖地は人間が絶対に侵入しないシェルターとしての役割を持つと考えられるのです。
さらに考察すると「幻の聖地」を作ったのは、グリメルがかつて殺害した、トゥースと同じナイトフューリーであるのではないでしょうか。
この理由については、人間と長い時間を共にしたドラゴンであるトゥースに対し、ドラゴン達はすぐに従っている点が挙げられます。
一般的に野生動物は、人間に触られること自体がストレスになるとされているのです。
特に、人間が助けたことで「人間のにおいが付いた野性の鳥のヒナが育児放棄されて死んだ」という話を聞いたことがある人も多いことでしょう。
つまり本来であれば、ヒック達と暮らしてきたトゥースが聖地を訪れても、聖地に住むドラゴンはトゥースの命令に従うことはないと考えられます。
しかし、ナイトフューリーが幻の聖地を造り出したと考えると、同じく種類であるトゥースがリーダーとなることを承諾するのも納得できるでしょう。
架空とされている生き物が住む世界の「一部」
「幻の聖地」は、バーク島をはじめとした、人間が住む世界とはかけ離れた環境であることは作中でも描かれています。
しかし、作中で描かれていたのは、トゥースやライトフューリー達が集まっていた場所の風景のみです。
ドラゴン以外の生物の有無・ドラゴン達の生活風景をはじめ、その全貌は明らかにされていません。
ここから考えると、作中の「幻の聖地」の風景は氷山の一角であり、他にも架空の生物とされた生き物が存在している可能性があると考えられます。
この考察の理由が、映画の最後において「世界はたとえドラゴンが実在していても、絶滅しているものだと信じている」という内容のヒックの台詞です。
現代人が確認できないものであるからといって、ドラゴンをはじめとした架空の生物達が存在しないとは言い切れません。
つまり、今でもドラゴンなどの架空生物は、人間から見つからないように生きているかもしれないというメッセージが込められていると考えられます。
人間とドラゴンそれぞれの今後は?
人間とドラゴンという2つの種族を巡る物語の完結編となった本作ですが、バーク島の人間とドラゴン達が別れた後の話は、明確に描かれていません。
ここでは、ヒックをはじめとしたバーク島の人間とドラゴンの、それぞれの今後について考察していきましょう。
国の誕生
シリーズ3作品を通して、若く変わり者のヒックはバーク島の正式な長となり、幼いトゥースは幻の聖地のドラゴン達を束ねるリーダーとなっています。
互いに人生のパートナーと結ばれたヒックとトゥースは今後「ドラゴンと人間が共存する世界」を実現すべく、国を造り上げると考えられるでしょう。
理由については、これまで争っていた者同士が、争うことなく共存するためには、何をしたらNGなのかというルールが必要になるという点です。