しかし司教の愛によって彼は救われました。
彼の体現したものは導かれしもの
ジャン・バルジャンは、受けとった愛を行動で返していきます。
彼は人々を助け、愛する人のために自らを犠牲にしたのです。
劇中に登場する「銀の燭台」は「神の許し」を象徴しています。
ジャン・バルジャンは神の愛にふれ、善なる道を歩み始めました。
最後に天国へ導かれる彼は、神によって導かれしものを体現しています。
ジャベールが示すもの
ジャベールはジャン・バルジャンと対になる人物であり、同一の人物でもあります。
憎しみに捕らわれ続けた
彼は自分の思い込みに執着し、人を許すことが出来ない人物です。
いわば神を信じない人物の代表として描かれています。
だからこそ彼は、最後に自殺という罪を犯してしまうのです。
聖書では自殺は自分を殺す殺人と捉えられており、よって罪になります。
法を信仰していた
He knows his way in the dark (奴は暗黒を行く)
Mine is the way of Lord (俺が進むのは神の道)
Those who follow the path of the righteous (正しい道を行く俺に)
Shall have their reward (報いはもたらされる)
And if they fall as Lucifer fell (奴は悪魔のごとく)
The flames, the sword (炎へと堕ちるのだ)
引用:レ・ミゼラブル/配給会社:ユニバーサル・スタジオ
ジャベールがこう歌うとき、彼は建物の縁を危なく歩いています。
これは、ジャベールが行く道は一歩踏み外せば落ちてしまう間違った道だということを示しているのです。
彼の後ろには権力の象徴であるワシが写っていました。
歌う歌詞とは裏腹に、彼が信奉しているのは神ではなく法だったのです。
ジャベールはジャン・バルジャンの影だった
ジャベールはジャン・バルジャンの罪を象徴していたとも考えられます。
ジャン・バルジャンが宿敵ともいえる彼を助けた時、全ての罪は浄化された、という考え方です。
だから、ジャベールは突然自殺をして消えたのです。
こう考えると、急展開に感じるジャベールの自殺にも納得がいきます。
ファンテーヌが示すもの
美しく愛に溢れた女性ファンテーヌは、完璧な人間ではありませんでした。
なぜ彼女は救われたのか
彼女は不器用な生き方をしている女性です。
テナルディエに自分の大切な娘を預けてしまったことも彼女の罪といえるでしょう。
彼女はまた、神に背を向けて娼婦となってしまいました。
しかし彼女は人を信じ、愛することをやめませんでした。
神は彼女を見捨てなかったのです。
彼女は救われる人物を体現している
ファンテーヌは過ちを犯した人物で、正しい人ではなかったかもしれません。
しかしそれは全て愛の為でした。
愛しか持たない彼女もまた、ジャベールと対照的な人物といえるでしょう。