一見素直じゃない台詞の応酬ですが、実は非常に強い愛と信頼に裏打ちされた言葉です。
もうそのような好いた惚れたの次元を超えて強く太い絆で結ばれていることを示しています。
運命の赤い糸なんて綺麗なものではありませんが、実質のプロポーズではないでしょうか。
それを間接的に表現しているのがこのシーン最大の色気が出ている所以です。
亮平に目もくれず麦を選んだ理由
紆余曲折の末亮平と朝子は一緒に居る決意をしましたが、彼女が最初選んだのは瓜二つの麦でした。
見ていて亮平が気の毒に思えるくらい朝子は麦に一途でしたが、その理由は何だったのでしょうか?
色気のある男
まず一つ目には麦が物凄く色気のある男だということが画面に強調されていました。
自己紹介でいきなり「朝はmorningの朝?」と聞き返したりいきなりキスしたりします。
普通の男が出来ることではなく、その非常識な危うさが色気に繋がっているのでしょう。
女は等身大で裏表のない男よりも謎めいている男に惹かれる生き物です。
私生活が見えない点も含めて朝子は麦のミステリアスさに惹かれていたのではないしょうか。
男慣れしていない
二つ目に朝子が女性としての恋愛経験が不足していることが端々の言動・行動から窺えます。
それは冒頭から終盤まで朝子の欠点を指摘していた春代の台詞からも明らかです。
朝子は一度スイッチが入ると前のめりになりますが、一方で周りが見えない欠点もありました。
また相手のことをよく知りもしないで早合点の安請け合いをしてしまう癖があったのです。
つまり朝子は致命的な程人を見る目・男を見る目がないから麦を選んだと推測されます。
恋は盲目
亮平と一緒になる前の朝子は正に「恋は盲目」で麦に勝手に期待して勝手に裏切られるのです。
靴を買いに行ったきり「戻る」といいながら半年も帰ってこなかったのに朝子は受け入れています。
それは信頼ではなく狂信であり、男を見る目がある女性ならこんなことされた時点で破局です。
しかし、麦が全てで麦を理想的に見ている朝子は東日本大震災が起こるまでそれに気付きませんでした。
亮平とは逆で麦を理想として見つめ合う状態を望んでいたのではないでしょうか。
悪くいえば依存症であり、冷静沈着な判断が出来なくなっていたから麦に目を奪われていたのです。
ボランティアをする真意
東日本大震災の後、朝子は亮平と一緒に被災地でのボランティアを行うようになりました。
このボランティアのシーンで描かれている真意とは果たして何なのでしょうか?
現実と向き合う
まず一つ目に朝子が麦との夢から目を覚まし現実と向き合っていることを示しています。
恋愛に現を抜かす自分がいる一方で被災地では明日の食事すらままならない人達が沢山居るのです。
そうした人達の傷ついた姿を見る内に如何に自分が平和に生きてきたかを知ったのでしょう。