出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B075H4GD8Q/?tag=cinema-notes-22
ハクソー・リッジとは沖縄にある前田高地のことです。
第二次世界大戦時の沖縄戦激戦地で、その切り立った崖を米軍の兵士達は弓鋸(ハクソー)崖(リッジ)と呼びました。
2017年の第89回アカデミー賞において録音賞と編集賞を受賞しています。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ハクソー・リッジ
監督は名優としても名高いメル・ギブソンが『アポカリプト』以来のメガホンです。
映像著作権はCosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016が所有している本作。
アカデミー賞の6部門でノミネートされた映画『ハクソー・リッジ』は実話をもとに製作されたことでも話題になりました。
実在の人物であるデズモンド・ドスのライフルを使わない信念を考察していきます。
そして裁判で認められた理由と敵兵を助けた真意にも迫ってみましょう。
デズモンドのライフルを使わない信念を考察
デズモンドは訓練の時からライフルを持つことを拒否し、触ることさえしないのは彼なりの信念によるものです。
彼は『セブンスデー・アベンチスト教会の敬虔な信者』であることを理由にしていますがそれだけではありません。
デズモンドのトラウマと信仰心
デズモンドは『人を傷つける行為』に対するトラウマを持っていました。
それは弟をレンガで殴ったことであり、父親にライフルを向けたことに起因していることは本人が語っています。
弟の件は『自分を守る』ためであり父親の件は『母親を守る』ための行動でした。
弟の時には自分自身が深く傷つきました。
その深い後悔の念を抱えたまま両親の喧嘩の声を聞いたデズモンド。
幼い彼の心には『母親を守りたい』という感情が増幅し、父親に対する否定的な思いが爆発しそうになります。
しかし当の母親が父親を許し理解しようとしていますからデズモンドの中に矛盾が生じていきました。
その矛盾を抱えるために彼は聖書主義である母と同じ宗教に深く帰依していったのでしょう。
父親にライフルを向けた行動は彼にとって『神に背いた瞬間』でした。
デズモンドはもう二度とライフルに触らないという誓いを立て神に許しを乞うたのも当然です。
煉瓦とベルトは伏線
弟を殴った煉瓦と父が折檻に使おうとしたベルトを使って負傷者を救った出来事は、デズモンドにとって生まれて初めての成功体験となります。
恐怖の対象が救いの道具となることを知った彼は心の霧が晴れていくような快感を覚えたことでしょう。
これこそ自分の生きる道だと彼が気づくための伏線が煉瓦とベルトだったのです。
物質は武器にも防具にもなります。それは人も同じです。要は使う側の人間性が重要なのだとメル・ギブソンは伝えたかったのでしょう。
裁判で主張が認められた理由とは
上官たちは戦場における武装放棄はチームを危険にさらすと判断し除隊させようとしました。
まるで出来レースのように絶対的不利な裁判に臨むデズモンドに訪れた大逆転劇。
父親の行動には『愛』を感じましたし、幼少期の母親の言葉を思い出させるシーンでした。
Conscientious Objecterとは
何度も登場する『Conscientious Objecter』を直訳すると『良心的な兵役拒否者』となります。
戦争や政策に反対しているのではなく宗教や思想など個人的な理由により兵役を拒否する人のことです。