出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/4087808645/?tag=cinema-notes-22
中国春秋戦国時代を舞台に描いた大ヒットコミックスを原作とする歴史エンターテインメント作品「キングダム」。
迫力満点のアクションとスケールの大きな映像も大きな魅力となっているこの作品。
原作者の原泰久先生も脚本の執筆に参加しているので、原作の名シーンがしっかりと映像化されています。
実写化するにあたりオリジナルのシーンや設定も作られ、原作ファン含め観ている人の楽しみの一つになっていました。
ここでは原作と映画の違いの比較から、オリジナルシーンに込められた佐藤信介監督の想いを解説します。
原作コミックと実写化の違いとは?
映画「キングダム」はコミック1〜5巻までの「王都奪還編」と呼ばれる部分が描かれており、基本的には原作と同じ流れで話が進んでいきます。
もともと一つの物語ではない王都奪還編を2時間の映画として完結するために、場面を加えたり削ったり、新たなアイデアを足していることが感じられます。
実写化の一つのテーマとなっている「夢」についても、オリジナルシーンを加えるなど、冒頭からクライマックスまで伝わってくるシーンがいくつかありました。
原作にはない実写化で加えられたシーン
削られているシーンもある中で加えられているとういことで、重要な役割を果たすシーンも含まれています。
実写化で監督が伝えたかったことに近づくにはおさえておきたいポイントです。
冒頭の幼い信と王騎の登場シーン
下僕として売られる前の幼い信が馬車に乗って連れられているシーンは原作にはありません。
同じシーンで行軍中の大将軍王騎の姿を信が目撃します。
信は夢である大将軍を、漂と出会う前の幼い頃に実は見ていたということですね。
大将軍になるという夢は漂と出会ってから出てきたもの。しかし信と大将軍の関連は漂との出会いよりも前にあったのです。
これにより信が大将軍になることは夢というより運命に近いのかもしれません。
脳天への突きの訓練
漂が王宮に士官した後、信が一人で木の人形を相手に脳天への突きの訓練を繰り返すシーンは原作にはありません。
映画ではこれがクライマックスへの伏線となっており、ラスボスの左慈を倒す技です。
このシーンを挿入した理由は、信の成長を描きたかったからでしょう。
一気に大将軍に近づいた漂に追いつこうとして必死に努力している信。
その努力が報われるクライマックスで、これまでずっと信を見守っていた観客にも感動が込み上げるのです。
つまり観客を作品に感情移入させるためにも重要なシーンであることが分かります。
左慈の設定変更がポイント
劇中では新たなアイデアとして設定の変更がされた場面もいくつか存在していました。