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【家族はつらいよ】周造がハンコを押した真意を考察!なぜ映画「東京物語」を見ていた?離婚届を破り捨てた富子の心情に迫る

しかし、目の前で周造が倒れたのを見て、富子に責任感のようなものが芽生えたことは間違いありません。

実は覚悟ができていなかった

家族会議の際、富子は現実的な問題についても見通しを立てていることを語ります。

それは「田園調布の一人暮らしの人に誘われている」「死んだ弟の著作権料が入る」でした。

逆に言えば、これ「だけ」しかないのです。

失うものが大きい

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もしも富子が周造と別れ、実際に誘われている人のところへ行くとどうなるか。

一人暮らしならまだしも、当然他の家族は会いにくくなるでしょう。子どもだけでなく、孫にも会いにくくなるでしょう。

そう考えると、富子にとってこの年での離婚は、失うものが大きすぎるのです。

はっきり言って現実的ではないでしょう。もしかすると、富子は本気だとは言いつつ、現実を見れていなかったのかもしれません。

確保できるのはお金と住む場所

妻のための離婚とお金の話

富子が今後の人生について成子から聞かれた時、答えたのが先述した二つでした。

ではお金と住む場所さえ確保できれば、次の人生が幸せになるのか。解決すべき課題はもっとあるはずです。

何よりも周造は別として、その他の家族とは何か問題があるわけではありません。

しかも自分を誘ってくれる人と一緒になったとして、もしも馬が合わなかったとき、富子には帰る場所がなくなります。

何よりもリスクが大きすぎです。

富子は自身の離婚が現実的でないとうっすら感じていたので、周造が心を入れ替えたとき、離婚を取りやめるのでした。

周造の言葉

何より富子の離婚を思いとどまらせたのは、周造の言葉でしょう。それが映画のテーマなのです。

富子は何よりも、周造の本音が聞きたかったのでした。

女心を知る周造

女の人を怒らせない技術――マンガでよくわかる女性とのコミュニケーションの鉄則

亭主関白で勝手気ままな周造が、富子との離婚の危機に直面したとき、はじめて相手を理解しようとしなければならないことを知ります。

お母さんがいなくなると寂しいとか、自分にはあなたが必要だとか。

もしそう思われるなら、それを言葉にしてお伝えになるべきじゃないでしょうか。

引用:家族はつらいよ/配給会社:松竹

これは、庄太の妻となる憲子に言われた言葉です。まさに、女心を周造は教えられました。

憲子に対しては、いつもの態度であしらいますが、間違いなく周造の中にはこの言葉が残っていたようです。

それが現れたのが、ハンコを押した離婚届を渡す際のシーンでした。

言葉を伝えた周造

僕と妻の場合――僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由

離婚届にハンコを押したことを伝える周造。その時こう語ります。

かれこれ40年いや45年か。お前と一緒になって良かった。そんな風に思ってるよ。サンキュー。以上

引用:家族はつらいよ/配給会社:松竹

頑固で絶対自分の本音を伝えてこなかった周造が、この時初めて富子に感謝の言葉を述べました。

最後の最後には、憲子が言うように言葉を伝えなければならない。そう思ったのでしょう。

しかし富子が最も欲しがっていたのは、この言葉でした。だからこそ離婚届を破り捨てるのです。

家族だからこそ伝えよう

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一番近しい人ほど、気持ちが通じ合っているから言葉はいらないと想いがちです。

しかし言葉を伝える場面はむしろ家族だからこそ必要、そう思わせるのが『家族はつらいよ』でした。

長男夫婦や長女夫婦が、なぜ喧嘩しながらもなんだかんだでやっていけているのか。

そう考えると、この夫婦はお互いに言いたいことを言い合っています。これが家族がうまくいくための秘訣でしょう。

熟年離婚が増えている現代だからこそ、もう一度家族について考えるきっかけになる作品です。