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【IDOL-あゝ無情-】は長崎県壱岐島においてWACKが開催したIDOLの合宿型オーディションのドキュメンタリーです。
解散の危機に直面していたBiSで戦力外通告された4人のメンバーもIDOL候補生たちに混じって合宿しました。
合宿では毎日評価が行われ、WACK代表の渡辺によって毎日のように脱落者が通告されます。
まさに情け容赦ないサバイバルレースですが、ドラマチックにもオーディションの最終盤でBiSの解散という事件が発生してしまいました。
これは渡辺が仕込んだシナリオだったのでしょうか。それとも別の何かがメンバーを解散に追い込んでしまったのでしょうか。
BiSはなぜ解散することになったのか
渡辺たちはもともとBiSは解散せざるを得ないと考えていました。ただ解散のタイミングは別途検討する積もりでした。
BiSの戦力外通告されたメンバーも参加した合宿型オーディションがBiSの解散時期を早めてしまったのはなぜなのでしょうか。
結果は大人たちの描いていたシナリオとは違う展開だったのかもしれません。
渡辺の思いとともに少女たちの心の中に分け入ってみましょう。
渡辺の思い
渡辺はIDOLを目指す少女たちの本気度を試します。ある意味で彼は少女たちの本音を見透かしていたともいえます。
IDOLを目指す少女たちは現実的で計算高く、最も小さな犠牲で大きな効果を出そうとパフォーマンスを加減することを知っています。
渡辺はそのような姿勢では彼女たちに飛躍的なジャンプが期待できないと考えていました。
このために残酷とも見える過酷な環境をしつらえたのです。
それはBiSのメンバーに対しても同様でした。
最早IDOLグループとしての体をなさなくなりつつあるBiSの本気度に一縷の望みを託したのではないでしょうか。
戦力外通告を受けたメンバーはオーディションからの脱落によって強制的にBiSを脱退させられます。
渡辺はこの現実をBiSがどのように受け止めるか見たかったのでしょう。
メンバーの思い
BiSのメンバーには事ここに至っても渡辺たちの仕掛けはどうせ一種の演出に過ぎないのでないかという甘い見方があった可能性があります。
全てが演出で成り立っているショービジネスの世界で生きてきた彼女たちにしてみれば決して不自然な考え方ではありません。
メンバーたちには最早ギラギラした野心も本気でIDOLグループの頂点を目指そうという心意気もありませんでした。
妙に達観したぬるま湯的心情だったのです。それぞれの思いはすれ違い、BiSとしての一体感も失われていました。
彼女たちを包んでいた偽りのベールはサバイバルレースという過酷な環境の前で剥がされ、メンバーの赤裸々な心情が現れるのです。
存続の未来はあったのか
何かが変わればBiSが解散しない道はあったのでしょうか。
渡辺を含めてスタッフの大人たちは今のままのBiSをプロデュースする気持ちをなくしていました。
渡辺の設定した仕掛けはBiSのメンバー全員に課せられた高いハードルでした。
だれか一人が頑張ればなんとかなるような状況ではなかったのでした。
抜本的にBiSが変われなければ少なくても渡辺たちのもとでのBiSの存続はあり得なかったのです。