出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07SFYDRKW/?tag=cinema-notes-22
MUC12作目、そしてフェイズ2を締めくくる作品として選ばれた「アントマン」はMUC作品の中で異彩を放つ物語です。
アントマンことスコット・ラングはどこにでもいそうな中年男性ですが、彼がヒーローになったのには深い理由があるようです。
今回はコミカルな中に潜む最小ヒーローの闇にフォーカスを当てて、物語を解明していきます。
劇中に一体どんなメッセージが隠されているのでしょうか。
スコットがアントマンになる必要は無い
スコットがピムにスカウトされる場面を何も疑問を持たずに観ていた人は多いかもしれません。
しかしよくよく考えてみればスコットよりももっと優秀な人材は他にもたくさんいるはずです。
空き巣ならではの身のこなしはアントマンになるためのポイントではあったでしょう。
ですがスポーツ選手などもっと機敏な人材はいますし、スコットより優秀なエンジニアも他にいます。
死と隣り合わせの職業
ヒーローという名誉な立場になる人間を選ぶ際になぜスコットに白羽の矢が立ったのでしょうか。
ヒーローを職業と捉えた場合、死の危険を伴う仕事であるという点に注目しなければなりません。
そうなると社会的に居なくなっても痛くも痒くもない人間が選ばれる確率が高まるのは当然です。
ピムは自分の妻が小さくなり過ぎて死んでしまったのだから、ヒーローの危険性は充分承知のはず。
だから娘ではなくスコットをアントマンに指名したのです。
ピムの策略
人生をやり直したいというスコットの弱みにつけこんだ卑劣な誘いでした。
養育費さえも払えない働き口もないお先真っ暗なスコットに、ピムの申し出を拒む権利は無かったのでしょう。
確かにイエロージャケットの軍事利用は危険ですが、正義のためとはいえアントマンの任務は窃盗に他なりません。
窃盗犯の再就職先が窃盗を依頼するという闇。更生の難しさをこの作品は示しているのではないでしょうか。
負の連鎖
本作には国内外で議論を呼んでいる前科者の再就職問題もさりげなく組み込まれています。
職につけず、養育費も払えないスコットは娘キャシーに会うために再び犯罪に手を染めてしまうのです。