このことからもアメリカの雇用問題の根深さを知ることができるでしょう。
高層マンションのガーゴイル
日本ではなかなかお目にかかれないガーゴイルですが、本来的な役割としては「雨どいからの排水」の機能を持った彫刻。
その他にも建物の内部から罪を吐き出す存在として宗教的な意味合いもあるようです。
実際にパリのノートルダム大聖堂のガーゴイルは世界的にも有名でしょう。
ただし、今作でのガーゴイルはマンションの外壁部ではなく、狛犬の様に2体並んで屋上に設置されています。
そのため正確には排水の役割を果たしておらず、そのような置物はシメールやグロテスクと呼ばれる種類のものです。
ゴーザの番犬としての役割を担う門の神ズールと鍵の神ビンツですから、壁面ではなく屋上に配置されていたことは納得できます。
恐ろしい外見なので映画の演出には欠かせない存在となっているのは間違いありません。
門の神ズールと鍵の神ビンツが象徴するものとは
破壊神ゴーザを誕生させるためには門の神ズールと鍵の神ビンツが交わらなければならないという設定でした。
「門と鍵だし、それはそうだろう」と受け入れてしまいそうになります。
ですが象徴しているものを考えてみると、そう単純ではないようです。
門と鍵は暗喩だった!
昔からよく使われる組合せではありますが、門と鍵はその形状から男と女を表す暗喩としてよく使われます。
そのため門の神ズールはメスで、鍵の神ビンツはオスと設定されています。
ズールとビンツに乗っ取られたディナとルイスがベッドから起き上がるシーンもありました。
これは2人が交わったことを意味しています。
なぜ人間に取り憑くのか
テラー・ドッグとして隣同士にいたズールとビンツですから、そのまま交われば早いのにと思ってしまいます。
しかし彼らは霊体なので物質的な交わりができません。人間の体を乗っ取るしか方法がなかったようです。
それにゴーザがゴーストバスターズに破壊方法を選ばせたことから、全てを人間に委ねたかったのかもしれません。
破壊神ゴーザ誕生の条件に込められた真の意味
ここまで、この映画が作られた国の文化的背景、門の神や鍵の神の象徴するものについてみてきました。
勘の鋭い方はすでにご理解のことと思いますが「破壊神ゴーザ誕生の条件」の真の意味について紐解いていきましょう。
アダムとイブが善悪の樹の実を食べて楽園を追放されてしまったという説話。
これは神様と同じように男女の関係を持つことにより「人間をつくる」という神に等しい行為をしてしまったことの例えです。
破壊神ゴーザ誕生の条件はアメリカ社会では当然のように知っている「アダムとイブ」の説話の暗喩だったのです。
アダムとイブは満たされた世界である楽園から苦しみのある世界へと追放されました。
つまり門の神ズールと鍵の神ビンツが交わることは、世界を終末へと向かわせる破壊神ゴーザの誕生を意味しています。