出典元: https://www.amazon.co.jp/dp/B07NLGS6QK/?tag=cinema-notes-22
映画「少女邂逅」は保紫萌香とモトーラ世理奈のW主演作品で、2017年にMOOSIC LABにおいて上映され話題を呼びました。
今作で監督を務めた枝優花は、大学在学中から数々の賞を受賞している実力派の監督です。
2013年 第26回早稲田映画まつり 観客賞・審査員特別賞(『さよならスピカ』)
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/枝優花
同級生からいじめられていたミユリは1匹のカイコと出会いました。
そしてつむぎと名付けて飼い始めますが、ある日そのカイコと同じ名前の転校生・富田紬がやって来ます。
紬はミユリに「世界はもっと広い」と語り、いじめから解放してくれる存在に。
ミユリと正反対で凛とした紬でしたが、彼女にはミユリにも話せない秘密がありました。
今回は、ラストに手首を切った意味・なぜ清水はミユリをいじめていたのか・紬が餓死した理由を考察します。
なぜ清水はミユリをいじめていた?
紬とミユリが仲良くなったことを快く思わない清水。
それはいじめの対象がいなくなることが気に入らないという単純な理由ではなさそうです。
そもそも清水はなぜミユリをいじめているのでしょうか。
嫉妬からのいじめ
ミユリが紬と仲良くなったことへの嫉妬が描かれていることからも、清水はミユリを独占したかったのだと推測できます。
ミユリと清水は以前友達でした。もしかしたらその頃にミユリが他の女子と仲良くなり、清水が嫉妬したのかもしれません。
可愛さ余って憎さ百倍といいますが、清水もミユリを嫌っていじめていたのではないはずです。
自分を裏切ったことを後悔させたいという思いと、ミユリの心に自分の存在を焼き付けたいという願望が混ざっていたのではないでしょうか。
ミユリを解放したい
いじめの際にカイコを投げ捨てた清水は、狭い世界から解放し、広い世界に出してあげると語っていました。
今いる世界が嫌なら、意思表示しなければ一生抜け出せません。
いじめられるがままのミユリは「嫌だ」と声をあげることを放棄しているように清水の目には映ったように見えます。
いじめに耐え切れなくなったミユリはいつか自分の意思を主張するでしょう。その日を清水は待ち望んでいたのではないでしょうか。
沖縄旅行計画
清水のいじめに耐え切れず自殺を図ったミユリの前に紬が現れます。
ミユリの救世主になる紬ですが、彼女のカバンの中には沖縄旅行の本がいつも入れられていました。
なぜ本を持ち歩いていたのでしょうか。
逃亡計画
クラスメイトが勉強疲れのご褒美に沖縄旅行しようとミユリを誘っていましたが、やはり沖縄は現実逃避するにはピッタリの場所だといえます。
これは紬にも当てはまり、父親からの性的虐待から逃れたい彼女の心理を表していたのではないでしょうか。
喫茶店で父親に会った時に沖縄旅行の本を必死で隠していたことからすると、紬にとってはただの現実逃避ではなく逃亡に近いのだと思われます。
家に置いておくと沖縄旅行が阻止されかねません。その上父親が逆上する可能性もあるため、肌身離さず持ち歩いていたと考えられます。
御守り代わり
沖縄にある大石林山は生まれ変わりの石と呼ばれています。
紬がそこをミユリに紹介したのは、ミユリのためというより自分のために行きたかったからではないでしょうか。
父親の手から離れて、新たな紬として生まれ変わることを望んでいることを暗示しているように見えます。