また、行き過ぎたベジタリアンやヴィーガンたちも、不自然な生き方をしています。
両極端な価値観のグループが登場することで、よりミジャの自然な生き方が際立つようになっています。
甘くない現実をしっかり描いた作品
ポン・ジュノ監督が描く映画は甘い結末だけでは終わりません。
本作でもしっかり辛い現実が描かれています。
ミジャが資本主義社会に適応する姿
ミジャは、劇中で様々な大人のルールを学んでいきます。
祖父からはお金の価値を学び、ALFのメンバーであるケイからは言語の大切さ、そしてルーシーからは取引を学びます。
ミジャは純粋な表情で、命と引き換えに得た金の豚を使い目の前のビジネスマンの真似をしました。
大切な存在オクジャを助けるために、今自分がいる世界に染まり、使える武器をしっかり使ったのです。
自然の中で純粋に生きてきたミジャは資本主義社会へ下り、物の損得を学び自分の為に利用しました。
オクジャを金の豚と交換したことは、一瞬でもオクジャを物として取引きしたことを意味しています。
嫌だと思っていても、社会のルールに従わなければ「家に帰る」という理想は実現出来なかったのでしょう。
リアルな現実
後味の良いファンタジー映画なら、純粋に求め合う幼いミジャと豚のオクジャを見て、心を入れ替える大人たちが出てくるものです。
しかし、本作ではオクジャを助け出して帰る途中でも背後からは豚を屠畜する音が響き続けます。
悲しいほど現実的な描写ですが、観る者はこの現実をしっかりと受け止めなくではいけないのでしょう。
豪華なキャスティングが話題になった
世界同時配信された本作は、豪華なキャスティングでも話題になりました。
2002年にブラッド・グレイ、ブラッド・ピット、ジェニファー・アニストンが設立した映画制作会社
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/プランBエンターテイメント
制作会社のプランBエンターテイメントは、現在はブラッド・ピットが代表を務めています。
その他リリーコリンズやティルダ・スウィントン、ウィルコックス博士を演じたジェイク・ギレンホールなど豪華な顔ぶれが並びました。
ポン・ジュノ監督の影響力を改めて感じるキャスティングではないでしょうか。
現代社会の現実を描いた名作
『オクジャ/okja』はこう生きるべきである、とメッセージを送っている訳ではありません。
人間のエゴや逆らえない社会の流れなどを、ありのまま映し出しているのです。
何が悪いのか、どう生きることが正しいのか、とらえ方は人それぞれあるのではないでしょうか。
ラストシーンで無気力だったトラックの運転手キムが、イキイキとした表情でALFの一員になっています。
これは本作で影響を受けた人を象徴しているかのようです。