ニーナと共鳴し、ぎこちないながらも通じ合うことでその心の傷が癒えたのです。
ヴォットの死の真相とは?
ニーナを救出し落ち合う予定であったホテルの一室で、2人はヴォット州上院議員の死を知りました。
いったいヴォットの死の真相はなんだったのでしょうか。
明確な答えは描かれていませんでしたが、ウィリアム州知事によって殺された可能性が高いと考えられます。
おそらくヴォット州上院議員は事件の黒幕がウィリアム州知事ということを知ってしまったのではないでしょうか。
事件が明るみに出れば、州知事は職を追われるに違いありません。
また、ウィリアムはニーナをかなり気に入ったのでしょう。
よって自らの保身とニーナを確実に手に入れるためウィリアムによって殺されたと考えることができます。
リン・ラムジーが描いたアメリカ社会の闇
リン・ラムジー監督は『ビューティフル・デイ』でアメリカの抱える社会の闇を描いていました。
退役軍人のPTSD
ジョーが悩まされていたトラウマの1つが軍人時代の出来事によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。
荒野の中で、子供が銃で打たれてしまうフラッシュバックはこのPTSDが原因でしょう。
アメリカではベトナム戦争時代から社会問題として大きく取り上げられています。
家庭内暴力
ジョーのトラウマはさらに幼い頃の家庭内暴力(DV)によるものも大きいといえるでしょう。
何度も自殺をしようとする直前に幼い頃の記憶がフラッシュバックするのがその証拠です。
冷酷で残虐ながら、時より見せる子供のような怯えた姿はこの家庭内暴力の影響によるものでしょう。
またジョーが銃やナイフではなくハンマーで殺しを行うのも、暴力の象徴としての殺しの手法ではないでしょうか。
政治、公的権力の腐敗
本作の黒幕、ウィリアム州知事は金で少女を買っていました。
また、その州知事のため動いていた警察は汚職警官たちであることが明かされます。
こうした政治や公的権力の腐敗についても本作は言及していると考えられるでしょう。
少女の性被害
ニーナが被害にあった売春など少女の性被害についてもアメリカ含め世界全体で社会問題となっています。
これらの数多くの社会の闇を取り上げることで、さらに重厚で緊迫した作品に仕上がっているといえるでしょう。