そのポールの幸せが実ったことで自己破産してまで信じ続けた苦労が報われたといえます。

道中は決して順風満帆ではなかったジャンヌの人生はここで初めて一筋の光を見たのです。

それは決して大きくないものだけど、彼女自身の血と汗の結晶だったのでしょう。

絶望の中にも希望はある

絶望から希望を導くために -ロゴセラピーの思想と実践-

二つ目に、このシーンが示すことは絶望の中にも希望はあるということではないでしょうか。

ジャンヌと彼女を取り巻く人間関係は決して綺麗ではなく数々の裏切り・不義理・破綻に満ちています。

しかしそんな泥の中でも頑張り続ければ、その中から宝石が見つかることもまたあるのです。

ジャンヌにとってはポールが抱いて帰ってきた孫こそがその希望だったのでしょう。

決して誰しもが出来ることではない、ジャンヌならではの生き方だといえます。

肯定されないポールの人生

ここでもう一つ判明したことは結局ダメ人間のポールの人生はまるで肯定されていないということです。

表面上ポールを信じているように見せておきながら、ジャンヌが一番喜んだのは孫を見たときでした。

ここでふと疑問なのは何故ポールの事業が上手く行ったかどうかが示されていないのか?ということです。

そう、ポールはどこまで行こうと財産目当てで結婚した浮気性の最低の父親の息子だと示しています。

だからこそここで肯定されているのはポールの生き様ではなく彼が残した孫娘に対するジャンヌの笑顔です。

一見ハッピーエンドのようでいて、実は父や司祭、伯爵も含めて男性陣の人生はまるで肯定されません。

だからこそ「女の一生」というタイトルがここで皮肉的な意味で機能していることを示すのです。

権威の衰退

権威―珠玉の言葉があなたを変える

こうして見ていくと、面白いのは結婚がギャンブルだという側面を描きながら権威の衰退も描いている点です。

かつて権威を笠に着て好き放題女を抱き子供を作っていた身勝手な没落貴族が無残にもどんどん衰退していきます。

それも急速な形ではなく時代の変化と共に緩やかに、しかし確実に貴族達が権威を失っていくのです。

ジャンヌも最後は権威の象徴である邸すら失って労働者層のロザリの家に転がり込むという没落を経験します。

女の一生を通じて、形ある権威がいつかは衰退し、そしてわがままをした者には天罰が下ることを描いているのです。

それはどんな時代も変わることのない普遍的な人の生き方の本質ではないでしょうか。

個人の時代にこそ見るべき作品

個人の時代―主観性の歴史 (叢書・ウニベルシタス)

いかがでしたでしょうか?

かように古い作品が2016年という時代に更新され帰ってきたことには大きな意義があります。

それはこれから権威がどんどん衰退し既得権益者が没落を味わう時が来ることの予見です。

日本を含め今世界どんどん組織に依存する時代から個人の力が大事にされる時代となりつつあります。

それはどこか激しい変革が行われた本作の舞台である19世紀のフランスと似た所があるでしょう。

信じていた者に裏切られ、益々周囲を当てにすることが難しく個人の力がものをいう時代が来ます。

そんな時代にどう生きていけば良いのかを考えさせる一つのモデルを示したのではないでしょうか。

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