瀬戸内寂聴はこの台詞で、自分はまともな死に方をしないと伝えたのでしょう。

とてもおぞましい台詞であり、それは当時の編集者を含む周囲から批判を食らおうというものです。

越智との関係

さて、本作の中心にあるのは園子と越智との関係ですが、これが何よりも波瀾万丈でした。

果たしてこの二人の関係性はいかなるものだったのでしょうか?

体と心が一致しない

ヒマラヤ大聖者の免疫力を上げる「心と体」の習慣

この二人を表わす関係性は「体と心が一致しない」ではないでしょうか。

心では愛していて、それこそ夫の雨宮と結ばれる前からずっと好きだったのです。

しかし、一度青年との性行為で快楽を味わってしまってから満足出来ない体になっていました。

だから初めて結ばれたとき、まるで気持ちよく感じられなかったことに絶望したのです。

この時初めて性行為の快楽と恋愛感情との不一致が現われることになりました。

それが「覗いてはいけないものを覗いてしまった」という台詞の意味なのです。

悪女に狂わされた男

純真悪女~三人の男を地獄に落とした女~ 2 (素敵なロマンス ドラマチックな女神たち)

二つ目にこの二人の関係は悪女・園子に狂わされた男・越智という関係ではないでしょうか。

つまり越智は一番引っかかってはいけないタイプの女に引っかかったのです。

これは越智だけではなく夫の雨宮との関係性についてもいえることでしょう。

幸い肉体関係がダメだったことと北林という愛人が越智にいたことで共倒れは避けられました。

しかし、いずれにしても不健全な関係であることに変わりはありません。

何の責任も取っていない

南無の会 辻説法大全集 52.心の責任は誰がとるのか

以上をまとめると、二人は最初から義理も筋も通していない行きずりの関係に過ぎません。

始まってもいなければ終わってもいない、しかし周囲の人間だけは無意味に傷つけているのです。

自分に対しても周囲に対しても何の責任も取らず、勝手に期待し勝手に裏切られただけでした。

そんな杜撰な関係だったからこそ園子も越智も最後は痛みしか残らずに終わったのでしょう。

妹との結婚を頼んだ真意

妹たちへ (日経ビジネス人文庫)

そんな性にふしだらな園子でしたが、微かにまだ理性が残っていたのか雨宮に妹との結婚を頼みました。

愛していなかったとはいえ園子が妹との結婚を元夫に頼んだ真意は何だったのでしょうか?

妹の方が雨宮に関心を示していた

認識と関心

まず最初のヒントは物語の前半で夫・雨宮の出世に関心が無いのかと妹が問うシーンです。

ここで園子は妹の方が余程雨宮に関心を示していることを正確に看破していました。

また、性にふしだらな自分とは違い凄く真面目で一人の男性にしっかり尽くすのが妹です。

だからこそ園子は妹と雨宮の方がお似合いだと思ったのではないでしょうか。

その予想は的中し、妹と雨宮は幸せな家庭を築くことが出来ました。

対照的過ぎた姉妹

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