もしこの時買い出しに出ていなかったら、フィンは泥棒たちの計画に気付かなかったかも知れません。
泥棒たちもフィンの存在を認知していませんから僥倖ともいえるのではないでしょうか。
逆にいうとこうした細かい偶然の要素を生かす力がフィンには備わっていたということでもあります。
オンラインでサイモンに連絡・相談をした
二つ目にフィンがオンラインゲームを通じてサイモンに連絡・相談したことも影響しました。
ここで初めて彼の短所であったゲーム依存が最良の形で発揮されることになります。
そしてサイモンもまた洞察力を働かせてゲームではなく現実の話だと気付いたのです。
個人情報補語で住所を教えられないとか姉のスマホが電池切れとかいうマイナス面も有効に機能しています。
前4作にはなかったインターネット通信の発達と普及という要素を見事に物語に生かしたのです。
これもまたフィンの作戦成功に大きく貢献したのではないでしょうか。
アレクシスのアシスト
また、姉のアレクシスのアシストもフィンの犯罪計画阻止に貢献したといえます。
冷たい性格で携帯ばかりいじっていた姉が地下に閉じ込められ『戦争と平和』という書物を読んだのです。
フィンの成長だけではなくアレクシスの成長もまた描かれているのは本作最大の美点でしょう。
かなり偶然の要素がありましたが、大体勝つときにはこういった奇跡が神懸ったように作用します。
ですが、これらのチャンスをものにしたのは他でもないフィンとアレクシス自身です。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし
こうして考察を深めると、一作目から本作までで実は共通のルールがあることに気付きます。
それは「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という普遍の真理です。
シンクレア・ジェシカ・ヒューズの三人はフィンとアレクシスの前に負けるべくして負けています。
最大の敗因は情報不足で、三人はフィンが会話を盗み聞きしていたことを含め下調べが不足していました。
その上二人が子供だからと甘く見てかかったことも見事な敗北要因となったのです。
この法則がコメディながらも貫かれたことが本作をホーム・アローンシリーズたらしめた所以でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作はシリーズ最終作でありながら、集大成ではなく独自路線を開拓しようとしました。
フィンとアレクシスという現代っ子の設定やインターネット通信などを上手く盛り込んでいます。
しかもそれを両親と仲が悪い理由付けにし、しかもラストのカタルシスへと繋げました。
アプローチは独特ながらも、子供達の孤独をテーマに事件を通して姉弟の成長を描いたのです。
故に集大成ではないものの、シリーズとしてやり残したことを見事に成し遂げた一作ではないでしょうか。