劇中で雫は、山田裕貴演じるヤマケンや春に告白されています。
彼女はどんな思いで彼らを振ったのでしょうか。
出逢ったばかりの春を振った
映画の冒頭、春は親切にしてくれた雫にいきなり告白していました。
本作の中で雫のセリフはカットされていたのですが、原作の方ではきっちりと断っています。
それってたぶん刷り込みというか、他に友達がいないから勘違いしてるんだと思う。
引用:となりの怪物くん/出版社:講談社
雫は冷静に状況を判断しているようです。
この時の雫にとっては勉強こそが全ててあり、勉強によって満たされている状態です。
期待をすることに臆病になっているからこそ、恋心というものも受け止めることが出来なかったのでしょう。
そもそも、出会ってすぐの男子に告白されてYESという可能性は極めて低いのではないでしょうか。
ヤマケンを振った理由
原作と違うのは、ヤマケンが告白するタイミングです。
原作でヤマケンは春が姿を消す前に告白していますが、映画では、春が姿を消してから告白しているのです。
このタイミングのズレは、彼を振った雫の心中にも大きく影響しているのではないでしょうか。
春は戻らないかもしれない、という中でのヤマケンからの告白…。
それを断った背景には春を信じる心があったはずです。
自分たちの関係は壊れたりしない、そう思っていたのでしょう。
変わるはずがない。
私たちには積み上げてきたものがあるはずだ。
引用:となりの怪物くん/配給会社:東宝
雫のセリフは、自分たちが築き上げてきた愛を信じる強いものでした。
過去は過去
本作には過去の経験から孤独を感じている人物たちや、ササヤンのように過去の経験を後悔している人物が登場しています。
本作を読み解くには彼らの「過去」がキーワードになるのではないでしょうか。
様々な過去の経験から孤独を感じていたり、不器用な生き方をしていたりする彼ら…。
監督は下記の雫のセリフを借りて観る者にメッセージを送っています。
過去は過去で、あなたを縛るものは何もない
引用:となりの怪物くん/配給会社:東宝
過去は過去、今を生きている自分が苦しむ理由にはならないのです。
本作は仲間の存在が、孤独やトラウマを救ってくれる心温まる展開が魅力的な作品です。
駆け引きのない素直な「恋」
『となりの怪物くん』に登場する人物たちは皆「恋」に素直です。
好きという言葉をストレートに伝え素直な気持ちで相手にぶつかっていきました。
だからこそ、暖かい心で観ることが出来る映画なのではないでしょうか。
将来有望な菅田将暉と土屋太鳳の共演という点でも、見逃せない作品となりました。