さまざまな姿に変身する石造は、神話でいうところのクトゥルフ神のポジションだったのかもしれません。
作中で登場する脅威は、タコのようなオクトゴンにブリザーガ、そして変身能力で人を惑わす偽ドラえもんです。
オクトゴンはカーラが説明したように、過去のヒョーガヒョーガ星人が生み出した石造です。
そしてブリザーガもまた、ヒョーガヒョーガ星人によって作られた最強の石造。
オクトゴンやブリザーガよりも知能が高い偽ドラえもんは、太古の意思を継いだクトゥルフ神のような存在だったのではないでしょうか。
偽ドラえもんの役割とは
クトゥルフ神が偽ドラえもんだったと過程した場合、ドラえもんの姿を真似る必要があったのかという疑問が生じます。
それこそまさに、ドラえもんというストーリー上のスパイスです。
偽ドラえもんは人を惑わす邪心であり、正義と悪の明確な対比ともいえます。
すこしドジで抜けているけれど正しい存在であるドラえもんを真似たことで、邪神としての存在を確立したのでしょう。
人々を誤った道へと誘う存在
偽ドラえもんを邪心に据えると、のび太たちを間違った選択肢に導いたこともうなずけます。
仲間を裏切ったという事実は心の傷として消えないモノとなるでしょう。
クトゥルフが邪悪な姿で描かれるように、偽ドラえもんは始終邪悪な表情をしているのも特徴です。
善なる一面が無い偽ドラえもんは、まさに人を陥れる邪心の化身だったのではないでしょうか。
ドラえもんとのび太の絆を強調
劇場版ドラえもんシリーズの魅力は、なんといっても仲間との絆や友情です。
本作では映画のご都合主義もあり始終仲のいい姿を見せるメンバーですが、友情が強調されるシーンがイマイチ薄い気もします。
そんな物語の中で一番の見どころこそ、しゃべれないドラえもんを本物だと信じ抜いたのび太の姿。
偽ドラえもんの存在は、ドラえもんとのび太の絆を再確認させてくれたのです。
のび太にスポットを当てた友情映画
「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大作戦」は、シリーズ作の中でも独特の世界観を生み出した作品でした。
主人公であるのび太に大々的にスポットを当てた作品でもあり、ドラえもんとの強い絆を確認できる良作です。
邪悪な神話をベースにしながらも、ラストシーンでは10万年という時間を超えてカーラたちの成功も確認。
誰が観てもすっきり感じる終わり方は、まさに最高の子供向け映画といえるでしょう。