本作の大きなテーマにあるのが、正義(ジャスティス)とは何かということ。
市民のために戦うスーパーマンによって、なかったはずの被害が出ているのも現実です。
それに象徴されるのが、ウォレス・キーフの犠牲でした。さらに、ウォレスはレックスに利用され、公聴会での爆発を生みました。
このように本作のテーマである正義による犠牲。これが象徴されているのが、冒頭の『マン・オブ・スティール』のシーンなのです。
バットマンの思いと正義
バットマンは「悪人の成敗」、スーパーマンは「人命救助」。どちらにも正義のヒーローらしい姿があります。
より「正義らしい」のがスーパーマン。そんな誰もが認めているスーパーマンとなぜバットマンは戦うのでしょう。
バットマンの視点から考察してみます。
社員が犠牲に
先述したように、ウェイン家は先祖代々の大富豪です。そんな富豪であり続けたのには、社員を大事にする社長の姿がありました。
バットマン関連の映画である『バットマン ビギンズ』で、ウェインの父親であるトーマス・ウェインは社員を「家族」と言いました。
ブルースは足をがれきに挟まれた社員を見て、すぐに名前が思いつくほど社員思いです。
その社員が足を失くしました。さらにそのシーンの直後には、母親がビルの中にいるという少女を救います。
仕方のない事とはいえ、スーパーマンの争いに社員たちは巻き込まれ、被害を受けました。
社員思いのブルースが怒るのも、それなりの理由があります。
家族同様に考えている社員が辛い思いをしているのであれば、少しでも社員の味方をしようとするのがウェイン家なのです。
スーパーマンとは違う「犯罪者」
バットマンとして活動するのは、あくまで社会的な悪者を成敗するときなのですが、それが少々やりすぎな面もあります。
本編では、それが「焼き印」というやり方で表現されていました。そのやりすぎを「犯罪」として、ブルースも自覚しています。
我々は犯罪者だ。昔から何も変わってない
引用:バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生/配給会社:ワーナー・ブラザース
これは執事のアルフレッドとブルースの会話でのブルースの発言。やはりブルースは自分が、犯罪を犯していることを自覚しています。
バットマンのやり方を端的に言うと「目には目を歯には歯を」。スーパーマンの「正真正銘の正義」とは若干違うものがあるのです。
悪は悪で徹底的に懲らしめる。このやり方で20年以上やってきたブルースは、スーパーマンと考えが相いれません。
だからこそ、スーパーマンと戦うことを決意するのです。
バットマンにとってのスーパーマン
ブルースは本作の中で、何度か夢を見ます。その夢の中の一つに、バットマンに対する深層心理が現れているものがありました。
それが、両親の遺体が置かれているシーンの夢(母親の棺の中からモンスターが現れたシーン)です。
その遺体安置場に入った時、一つのステンドグラスが目に入りました。そのステンドグラスの人物は、赤いマントをしているのです。
赤いマント、つまりスーパーマンを表します。
そのシーンの直後にモンスターが現れたことからも、ブルースはスーパーマンのことを良く思っていないと判断できるのです。
スーパーマンのことを良く思っていないため、対決においても躊躇なくその準備をすることができました。
スーパーマンが見せる敵意
スーパーマンことクラーク・ケント(今からはクラーク=スーパーマン)は普段は、一人の新聞社員として暮らしています。
その新聞社員であるクラークは、バットマンのやり方に反発を感じ、バットマンに関わる取材を続けてきました。
その中で、おそらくバットマン=ブルースだということが分かっているのでしょう。
ブルースに近づいて、バットマンに対する敵意を示していました。
法を犯していることを指摘
先述したように、バットマンとして活動するときは、ブルースは法を犯していることを自覚しています。