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2016年公開の映画『ルドルフとイッパイアッテナ』。
斉藤洋の児童文学を原作に、『ポケットモンスターシリーズ』でも有名な湯山邦彦監督がメガホンを取っています。
間違って長距離トラックに乗ってしまい、岐阜から東京へ来てしまった黒猫ルドルフ(声:井上真央)。
ボス猫のイッパイアッテナ(声:鈴木亮平)との出会いによって、彼は大きく成長を果たすこととなります。
ここでは3DCGで描かれる表情豊かな猫たちが織り成す物語を考察します。
教養 その本当の意味とは?
ルドルフがイッパイアッテナと出会ってまず強調されること。それは教養について、です。
「三丁目」がどこにでもあること、黒猫は不吉という迷信……。
イッパイアッテナは、人間世界との関わりと通して教養の大切さを教えます。
これは、ルドルフが狭い世界でしか生きていなかった存在(子供)であることの示唆となっています。
さらにこれが文字を学ぶことにも繋がるのですが、本作のメッセージは「知識を学ぶことの大切さ」だけが主眼ではないはず。
「教養」が本当に意味しているものを考えながら、物語を考察します。
イッパイアッテナが教えてくれたこと
まず、イッパイアッテナがルドルフに物事を教えた際の、象徴的な点について考察します。
イッパイアッテナの夢
言葉を学ぶ際、イッパイアッテナはこう言いました。
やりたいことがあるんだよ
引用:ルドルフとイッパイアッテナ/配給会社:東宝
後半、それは飼い主を追ってアメリカへ行くことだと判明。
イッパイアッテナも、居たかった場所=飼い主のいる「家」を失ってしまった存在であることがわかります。
海外への引っ越しという、どうしようもない状況。意図せずトラックに乗ってしまったルドルフと同じ構図も見出せます。
しかしイッパイアッテナは、途方に暮れることなく学びつづけます。
抗いようのない困難に際しても、教養を身につけることで事態の好転を図ることができるという教えが窺えるでしょう。
教養が導く先
さらに、岐阜へ帰れず失敗して落ち込むルドルフにイッパイアッテナは言います。
絶望は愚か者の答えって言うんだ
引用:ルドルフとイッパイアッテナ/配給会社:東宝
決して絶望しないイッパイアッテナ。
彼のやり方、つまり教養を身につけることは、未来への希望を持つことにも繋がるというメッセージです。
狭い世界で生きてきたルドルフが新しい世界への展望を見出すのに、とても相応しい教えだったと読み解くことができます。
池に落ちたデビルを助けた理由
岐阜行きのバスを諦め、イッパイアッテナのかたき討ちにデビルのもとへと向ったルドルフ。
ではなぜ、池に落ちたデビルを助けたのでしょうか。この展開を深掘りしてみます。
ルドルフの成長
池に落ちたデビルに、イッパイアッテナのセリフをぶつけるルドルフ。