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メキシコの麻薬カルテルの争いで、ベニチオ・デル・トロ演じるアレハンドロが暗躍する『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』。
テイラー・シェリダンが脚本を務めた内容は、アメリカ密入国者を管理するため、CIAがカルテルのボスの娘を誘拐するものでした。
映画の中で最も謎なシーンが、なぜ顔面を撃たれたアレハンドロが生きているのかというと。
さらには、イザベラ・モナー演じるカルテルのボスの娘のイザベルを、CIA側の人間であるマットは抹殺するよう命じます。
それに対して、冷酷非情なアレハンドロが従いませんでした。一体アレハンドロはなぜイザベルを抹殺しないのでしょう。
今回はこの二点について考察します。
顔面を撃ち抜いたはずなのに…
メキシコからアメリカの国境を越える直前に、アレハンドロとイザベルは捕まります。
アレハンドロに関しては顔に布を被され、確かに少年ミゲルに顔面を銃で撃ち抜かれました。
それでもアレハンドロが生きていたのは、撃たれた場所が関係しているとしか思えません。
銃弾が当たった場所とは?
確かにミゲルは、アレハンドロの顔面に銃口を向けて引き金を引きました。
銃から放たれた弾は、アレハンドロの顔面を撃ち抜きますが、よく見ると弾はアレハンドロの顔の「ほほ」を「貫通」します。
弾が当たったのは左ほほで、左ほほを貫通して右ほほに弾は抜けているのです。
後に顔の布を外した時も、両のほほが血で黒く染まっていました。
顔面といえども、ほほであればすぐに死に至るほどの致命傷にはなりません。だから、アレハンドロは生きていたのです。
顔の布の役割
誘拐シーンにありがちな顔を覆うための布。これはアレハンドロが捕まっても、例外なく顔に巻かれました。
アレハンドロはその状態のままほほを撃たれます。ほほは致命傷にならないとはいえ、時間が経てば失血死もありえるはず。
しかしそうならないのは、布が止血の役割を果たしたからです。
さらにアレハンドロは最後まで必死にもがいていたため、布のせいでかなり呼吸がしにくい状態だったはず。
そうなると当然口が開きます。こうなることで、ほほの面積が広くなり、弾が歯に当たらず反対のほほに貫通するのです。
これらの要因が、アレハンドロが死ななかった一番の要因でしょう。
撃ち手に見る要因
アレハンドロが死ななかった直接的で一番大きな原因は、先述した内容だと思われます。
しかしまだ他の要因が重なって、アレハンドロは奇跡の生還を遂げたのです。実は撃ち手にもその要因がありました。
ミゲルが撃つ前の少年
ミゲルがアレハンドロに銃口を向ける前、一人の少年がアレハンドロを殺すようにギャングたちから命令されていました。
その少年は、銃口こそ向けますがアレハンドロを撃つことはできず、ギャングたちに殺されてしまいます。
それを目の前で見ていたミゲルです。初めて見るギャングの世界。初めて見る銃殺。
少年が動揺しないわけありません。平静を装うだけで精一杯なはずです。実際に映像でも、かなり躊躇していました。
そんな精神状態で、正確に銃を打ち込むことはできないでしょう。そのため、銃弾は脳ではなくほほを貫通したのです。
ミゲルはもともと「良い子」
映画冒頭、ミゲルの家庭内のシーンでは「良い子」のミゲルが映し出されます。
出掛ける前に母親に身づくろいされても嫌がらず、妹たちに出発を促す様子はまさに「良い子」です。
そんな少年が人を撃ったあとは、ただ茫然と銃殺した人を見ているだけでした。仲間はそんなミゲルを心配して、声をかけます。
つまり、アレハンドロの死亡確認をミゲルも仲間も怠ったのです。死んだ「だろう」と思ったことが、アレハンドロにとっては幸運でした。
ミゲルは「良い子」だったために動揺してしまい、さらにそのミゲルに仲間が注目したことによって、アレハンドロは死ななかったのです。
痛みにはめっぽう強かったアレハンドロと現在
通常の人であれば、失血死しなくても痛みや絶望感で、目が覚めても抵抗することをやめるでしょう。