恩地は一人で戦っていたわけではないのです。
長い間会社から邪険にされていた恩地でしたが、彼の真実を家族はしっかりと見ていたのでしょう。
山崎豊子が描く真実の物語
本作は山崎豊子の同名小説を元にしていますが、あくまでもフィクションであるとして上映されました。
真実の物語
劇中登場する恩地には実在するモデルが存在し、墜落事故は日本航空のジャンボ機墜落事故の真実を描いているようです。
山崎豊子は後のインタビューで、当時の日本航空から取材の妨害をされていたことを公表し「沈まぬ太陽」完成までの遠い道のりを公表しています。
未曽有の大事故に蓋をする会社に真っ向から立ち向かい小説を書きあげたのです。
彼女もまた、恩地自身なのではないでしょうか。
この作品が観客へ鬼気迫るものと感じさせる理由は、事故の舞台となった御巣鷹山の存在です。
実際に起こった日航機123便墜落事故の現場を、そのまま物語の墜落事故現場として使用しています。
物語の中で登場する遺体安置所も、実際の日本航空便墜落事故当時そのままのシーンでした。
関係者が口をつぐむ中、真実から目を背けてはいけないという強いメッセージを感じます。
訴訟が起きかけた映画
2009年に公開された本作ですが、当初日本航空から損害賠償訴訟を起こすといわれていたようです。
日本航空は、2010年(平成22年)1月19日に倒産し、映画上映後も結局は、日本航空から損害賠償訴訟が提訴されることはなかった。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/沈まぬ太陽
大きな力に立ち向かう時、そこには大きな困難が立ちはだかるものです。
しかし、だからこそ本作は観る者の心に響き、立ち向かう勇気を与えてくれるのではないでしょうか。
第33回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作品
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/沈まぬ太陽
山崎豊子や監督若松節郎の信念が、認められた映画でもあるのです。
消してはいけない真実の物語
『沈まぬ太陽』は、あくまでもフィクション作品ですが観る者の心には真実が届くはずです。
会社による不条理な提示は現実問題といえるでしょう。
本作を観て勇気をもらった、という声が多く届いたといわれています。
正しいとはどういうことなのか、会社とはどういう存在なのか…。
恩地の生き方から学ぶべきことが多々あるように感じます。
また「沈まぬ太陽」は、2016年に全20話でドラマ化されています。