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『映画ドラえもん のび太の宝島』は、2期の映画シリーズの中でも『STAND BY ME ドラえもん』に次ぐ興行収益を出した人気作です。
川村元気氏の脚本を元に、今井一暁監督が映画化。
見どころの多いアクションシーンに加え、地球エネルギーをめぐる親子バトルはの迫力は子どもから大人まで圧倒。
友情に加え親子の絆も描いた物語として多くの人に感動を与えました。
今回は、名作の一本となる本作の中から、シルバーと子ども達の会話が示す意味を解説。
シリーズではおなじみのタイムパトロールが登場しない点にも注目しながら、考察していきたいと思います。
絶望の未来を変えようとするシルバー
シルバーが研究者たちの集う場所を海賊船へと改造したのは、妻の死から1人で研究を進めた結果です。
研究に行き詰まったシルバーが時空を超えて見たのは荒廃した地球の姿。
この絶望を1人で見てしまったことが彼の行動を暴走させたターニングポイントだったのでしょう。
フロックやセーラと共に研究に取り組んでいたのであれば、絶望の未来を目にしたとしても地球を捨てる選択はしなかったのではないでしょうか。
暴走したシルバーの望みとは
全ては、未来を生きる子供たちのためだ
引用:映画ドラえもん のび太の宝島/配給会社:東宝
シルバーの望みは自分たちの子ども、フロックとセーラの未来を守る事でした。
根底にある望みは変わらないものの、彼の研究は妻や子たちが望んだ未来からはだんだんとずれていきます。
それは、絶望の未来を見ただけではなく、フィオナの知識や技術力の彼自身の力が及ばなかった部分もあったのでしょう。
1人の力では地球と子ども達の未来を守れないと感じたシルバーは、いつしか妻の遺言ともいえる願いを歪曲。
フロックとセーラだけを守るという考えから、地球エネルギーを利用する極論へとたどりつくのです。
シルバーの見た地球の未来
研究に疲れたシルバーがタイムマシンに乗って見た未来は、荒廃した地球の姿でした。
自分がどんなに頑張ったところで地球は滅びるのだと感じたとき、支えの無かった研究者としての心は折れてしまったのかもしれません。
地球の未来は無いのだと知ってしまったがために、シルバーは地球エネルギーの利用を思いついたのです。
親子の心の隔たり
とうさんは僕がきらいなんだ、だから僕を置いていったんだ。
僕の言うことなんて聞いてくれるもんか!
引用:映画ドラえもん のび太の宝島/配給会社:東宝
シルバーとフロックの心の隔たりは、フロックの言動からはっきりと受け取れます。
子供のことを思っての「ノアの箱舟計画」も、親子の関係に亀裂が入った状態ではあまり意味がありません。
フロックの言葉は、仕事に打ち込む父親から愛情を感じない子供の心理をダイレクトに伝えています。
シルバーは妻を失った悲しみを共同で進めていた研究を完成させることで埋めようとしていたのかもしれません。
しかし、彼が目を向けなければいけなかったのは研究ではなく子供たちを思うフィオナの言葉だったのです。
シルバーと子ども達の会話から感じる親子の絆
シルバーは優しい父親でしたが子どもと会話するのは上手くありませんでした。
それは、彼がクイズを生み出したことからも良く分かります。
行動で示そうとしても上手くできないシルバーは、子どもの相手をクイズに任せたことでさらに子供たちと距離を開けることになったのです。
会話からも受け取れる子供たちの自立
シルバー:フロックそこに居るんだろう。もう気は済んだだろう、戻ってこい。