大ヒットとなった『バトル・ロワイアル』と同じ始まり方と言えば、本作の構成が映画をとらえやすいものであることが分かるでしょう。
高畑と天谷の共通点
正義の味方のように見える高畑と、それにしつこくまとわりつくサイコパスな天谷。
結局映画ラストには、この二人が生き残っています。では、この二人が生き残った理由とは何なのか。
お前も俺と同類だ。臭いで分かる。
引用:神さまの言うとおり/配給会社:東宝
直接的な原因にたどり着く前にも、ラストステージまで生き残るための能力が必要です。実は高畑と天谷には、共通点がありました。
ゲーム開始直前までは現実を諦めていた人
高畑は、現実を「退屈」だと思っている人物でした。
あんな意味のない退屈な世界なんか、全部ぶっ壊れればいいと思ってた。
引用:神さまの言うとおり/配給会社:東宝
こちらは高畑のセリフ。そして天谷も力こそが正義であってほしかった、とするセリフを語ります。
つまり二人ともゲーム開始直前まで、生きることを半ば諦めている人物なのでした。
作中で白熊に殺された高瀬も、以前自殺をしようとしていましたが、高畑に救われ、現在では希望を抱いていた人物です。
そう考えると、作中で語られた「世の中を捨てている・諦めている」人物はこの二人だけ。
この共通点があったからこそ、神様に選ばれるのです。
知力・体力・想像力
マトリョーシカの胸に書かれたこの文字。この文字はゲームを戦い抜いていく要素であり、二人にはそれらが備わっていました。
何より大事なのが、現場の状況や情報から即解決の道を導き出し、行動するかどうか。つまり知力と体力と想像力。
招き猫やこけしとのゲームで活躍する高畑は、間違いなくこれらの能力が備わっていたでしょう。
そして天谷もカンケリのゲームでは、高い身体能力と判断力、行動力を見せつけました。また喧嘩も強く、体力もあります。
さらに、ゲームではやたらと時間制限があります。
その時間制限がある中で、情報を収集する能力、情報を判断する能力、そして最善の道を導き出す行動力。
これらの能力が高畑と天谷には備わっていたため、最期まで生き残るのです。
暗示された「秋元の死」
マトリョーシカのゲームでは、結局誰も死ぬなんてことはありませんでした。
しかし、アイスの「あたり」「はずれ」によって、秋元は「はずれ」を引いてしまい殺されます。
実は秋元が殺されることは暗示されていました。それは、招き猫のゲームが終わった直後の高畑と天谷が話すシーンです。
なんと二人が会話をしているシーンで、秋元の姿がすーっと消えていきます。
なぜ秋元が消えたのか疑問に思うかもしれませんが、実はあのシーンでいずれ秋元がいなくなることを示唆しているのです。
つまり画面に映る三人(高畑・天谷・秋元)で、秋元だけ消えるということは、高畑と天谷は残るということ。
秋元が消えるのには、そのような意味があったのです。
運があるかどうか
直接的に高畑と天谷が生き残った原因。
それがこの二人に「運」があったかどうか。これはマトリョーシカのゲームが終わった後に描かれます。