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映画『Bの戦場』はゆきた志旗の原作ライトノベルを2019年に実写映画化した作品です。
『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で有名な並木道子が監督を務めました。
主演は吉本興業のガンバレルーヤ・よしこと速水もこみちを中心に実力派の人達が揃っています。
物語は自身を「ブス」と卑下してきた北條香澄が三角関係の恋愛を通して成長していくという内容です。
タイトルのBは”ブライダル”と”ブス”の二重の意味があるなど、細かい遊びの要素もまた見所でしょう。
本稿では香澄がプロポーズを受け入れられない理由をネタバレ込みで考察していきます。
また朝子のビンタに込められた意味や久世の正直な台詞の真意も併せて分析していきましょう。
「ブス」といわれて嬉しいか?
本作はイケメンと不細工な女性との恋をテーマにした『ブスの瞳に恋してる』の系譜でしょう。
しかし、決して安易なブスとイケメンが恋愛してめでたくゴールインという話ではありません。
寧ろそのセオリーを崩すが如く、香澄と久世の関係を通して「ブス」といわれる辛さを表現しています。
いわゆる「バカ」「アホ」などと同じように相手の存在価値を丸ごと否定しかねない言葉です。
演じるよしこさんの「ブス」いじりは仕事として共演者やスタッフとの信頼で成り立っています。
そうでない限りこのようなネガティブな言葉を連呼されて嬉しい人は居ないのではないでしょうか。
そうした香澄を中心にした女性の心情目を向けつつ、本題を考察していきます。
香澄がプロポーズを受け入れられない理由
香澄はイケメン上司の久世からブスが好きだということでプロポーズを迫られました。
ところが、彼女は複雑な心境でそのプロポーズを受け入れることが出来ません。
ここではその理由について見ていきます。
ブスの連呼
最初にブスと連呼されることによる精神的ストレスが挙げられます。
上記したように「ブス」は「バカ」「アホ」と同じで相手の存在価値を否定する言葉です。
久世にその意図はなくても香澄にとってはそういうニュアンスで刺さってしまいます。
それだけ言葉は諸刃の剣であり、使うに際して絶対悪用してはいけないということでしょう。
逆にいえば、久世は言葉に対する感覚が非常に鈍く乏しい人だということになります。
それを敏感に感じ取っているからこそ受け入れられないのでしょう。
ブスじゃない自分に価値がない
2つ目に久世は香澄が最近ブスに見えるから距離を置いていたという趣旨の発言をしたことです。
これは換言すればブスじゃない香澄には価値がないということになります。
そう、ここで久世は香澄のアイデンティティーが「ブス」にこそあるといわれたのです。
つまり可愛くなろうと自分磨きの努力も含めて全否定してしまうことになるでしょう。