ここが大事なポイントで本作は金持ちが貧乏人を救って万々歳という安易な展開ではないのです。
祥子はあくまでもバリのアニキから「生きていく力と心構え」を教わったに過ぎません。
借金も自分で返さないといけないし、自分の人生を良い方向に変えるのは自分しか居ないのです。
だからこそ、バリのアニキの800万という善意の資金に頼る選択をしなかったのでしょう。
つまりここからが寧ろ祥子の物語の始まりであると示したかったのではないでしょうか。
祥子に掃除の仕事を命じた理由
最後はバリのアニキの凄さを知った祥子ですが、最初からバリのアニキを認めたわけではありません。
寧ろ前半ではあまりの破天荒な言動・行動に振り回されっぱなしでした。
そんなアニキが祥子に最初に命じたのは掃除の仕事でしたが、その理由は何だったのでしょうか?
人生はドラクエ
掃除をした後のシーンでアニキは掃除の仕事を命じた理由についてこう述べました。
人生はドラクエや!
引用:神様はバリにいる/配給会社:ファントム・フィルム
ドラクエのように仕事も最初はレベルの低い所から始まるものだということを伝えました。
これは劇中では描かれていませんが、アニキの人生そのものから来る哲学でしょう。
公式サイトをご覧になると分かりますが、アニキもバイトの掛け持ちから始まったのです。
その内にドラクエ方式でどんどん仕事をレベルアップさせて大富豪に至っています。
そんな彼の体験に基づく持論だからこそ説得力が生まれるのではないでしょうか。
どんな仕事にも意味がある
2つ目にアニキは祥子にどんな仕事にも意味があることを教えたかったのではないでしょうか。
掃除の仕事は確かに汚れ仕事なので積極的にやりたがる人は中々いません。
しかし、掃除してくれる人達が居るからこそ職場で働く人達が気持ちよく仕事が出来るのです。
つまり世の中に無駄な仕事は1つもなく何かしらの意味があって存在しているということでしょう。
その意味を改めて祥子に考え直して欲しかったと推測されます。
実戦に勝る修行はない
3つ目の理由としては祥子に実戦に勝る修行はないということを教えたかったのでしょう。
祥子は小さい頃から学業も商売の勉強もしてきたのに人にも家族にも裏切られたと話しました。
これは即ち机の上で勉強したことなど実際の仕事においては何の役にも立たないということです。
仕事のノウハウやコツは実戦の中で身につけ昇華していってこそ初めて形になります。
頭でっかちで理屈っぽい祥子のそういう部分をまず徹底的に破壊したかったのでしょう。
結果としてその目論見は成功し、祥子は無事に立ち直ることが出来ました。
子供達に運動靴をプレゼントした理由
自殺しかけた祥子は改めてバリのアニキから成功するコツを教えて貰うことになりました。
その過程においてアニキは子供達に運動靴をプレゼントし、祥子に咎められるシーンがあります。
ここではアニキが何故そのような慈善事業じみたことをするのかを見ていきましょう。