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映画『暗黒女子』は秋吉理香子の原作ミステリー小説を実写化した作品で、2017年に公開されました。
監督は耶雲哉治、キャストは主役の清水富美加と飯豊まりえを中心に脇役も充実しています。
物語はミッション系の女子高校にある文学サークルの朗読会を舞台にした朗読会です。
生徒たちの憧れだった白石いつみが謎の死を遂げた理由と犯人だと思う人の告発を行っていきます。
本稿では澄川小百合がいつみを殺した理由をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、朗読会を開いた狙いや互いに貶め合う小説を書いた意図にも迫っていきます。
「顔」が見えない若者達
本作がメインテーマに据えたのは「顔」が見えない若者達ではないでしょうか。
表の綺麗な顔とは裏腹に文学サークルの女子達は裏にまた違う「暗黒」の顔を持っています。
いってみれば「全員悪人」の女子高生版『アウトレイジ』という側面もあるでしょう。
しかし、本作の物語・世界観は果たしてこの女子高生達に特有のものでしょうか?
そう、現代社会に生きる者はそれが大人であれ若者であれ、誰しもが暗黒の顔を持っています。
仲の良い友達同士でも裏ではSNSや掲示板などで誹謗中傷を書いていたりするものです。
実は誰にでもある裏の顔がどのように表現されているかを見ていきましょう。
小百合がいつみを殺した理由
何と死んだ筈のいつみは生きていて、一連の流れは全て彼女の計画通りだったのです。
余りにも衝撃的な結末でしたが、ここですんなり終わるのではなくもう一波乱ありました。
そう、いつみの親友にして副会長であった小百合がいつみを裏切って殺したのです。
何故このような裏切りを最後に働いたのかをここでは考察していきましょう。
憧れの存在ではなくなってしまった
1つ目にいつみが小百合にとって憧れの存在ではなくなってしまったことが挙げられます。
いつみはいつも生徒たちの憧れの「華」でしたが、それは裏の冷酷さと表裏一体のものでした。
彼女は小百合をはじめ自分を慕ってくれる者達を脇役に置くことで自分を高みへ置いたのです。
即ち他の女子生徒たちに対する支配欲と優越感がいつみを憧れの的たらしめていました。
そんな孤高の華が北条先生との駆け落ちで普通の女性になったことが小百合は許せなかったのです。
だからこそ小百合はいつみをすずらんで毒殺したのではないでしょうか。
主役になれると思った
2つ目に小百合が脇役だと思っていた自分を鏡で見たところ十分に美しいと感じたからです。
これは即ち彼女の潜在意識の中にもまた主役になりたい願望があったということでしょう。
例えそれが白石いつみの代理でしかなくとも、主役になれることに変わりはありません。
実際に演じる清水富美加のビジュアルであれば十分に主役になれる説得力があります。
これは小百合のキャラよりも寧ろ役者の演技力とビジュアルに負う部分が大きいでしょう。