リンク構造は現実を理解するための手段であり、同時にココネが「自分」を認識するための手段だったのです。

「炎上」するもの

また、現実とのリンクに関して象徴的なシーンが他にもあります。

逮捕された渡辺(ベワン)が悪あがきで、呪いの言葉を世の中に放つシーン。明らかにSNSでの発言をモチーフとしています。

しかし次の瞬間には渡辺自身が炎上。現実に即して考えると、デマなどを流そうとして失敗、自分のSNSが炎上したメタファーといえます。

この背景に、社員や警察から、渡辺が不快感を抱かれる描写が見られます。

人と人が直接介さないやり取りが増加した現代でも、人の気持ちを無視するような人物は信用されず、相応の報いを受ける

現実と物語をリンクさせる構造は、そんな現代に即した鋭い警告すら発することができるのです。

「ココロネ」が意味するもの

エンシェンが夢の中でたびたび口にする言葉「ココロネ」。これが意味していたものはなんだったのでしょうか。

イクミの想い

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「心根一つで人は空も飛べるはず」。シジマ自動車の社訓です。交渉が決裂し、出て行く際にイクミは言いました。

私ならこの社訓 1文字だけ書き換えるけどな

引用:ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜/配給会社:ワーナー・ブラザース

この1文字とはおそらく、「心根」⇒「心羽(ココロネ)」。ココネの漢字表記が「心羽」だからです。

イクミの発言は、旧体質から抜け出せないシジマ自動車へのメッセージでしょう。

「根」=大地に根付いたものではなく、「羽」=空にはばたくものが必要だと。

単純に自動運転のことだけではありません。失敗や間違いを恐れず、希望を持って新しいことにチャレンジすること。

そんな風に「夢」を持つことが大切だと、エンシェン=イクミはメッセージを送っていたのです。

「心を与える」想いの力

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こう考えると、ココネの「心羽」という名前には大きな意味が込められています。

作中で機械に心を与える(動かす)のは、夢の中では魔法。現実ではプログラム。「心羽」という漢字も、同じ働きをするはずです。

そこに込められた想いは、「夢を見れば、人は空も飛べるはず」。

「ココロネ」に関するストーリーを知ることで、イクミからココネへの想いが理解できるのです。

夢を見た先にあるもの

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映画の序盤では将来についてあやふやな認識しかなかったココネは、物語を経て東京に行くという進路を決めます。

それは夢を通して現実を理解し、両親の気持ちを知ったから。

「夢」とは、寝ている間に見るもののことだけでなく、将来への希望も指します。

寝ている間の夢を通し、自分の将来の夢にも気付いたココネ。「ひるね姫」とは、まさに夢を見る彼女のことです。

未来に進むため、「夢」こそが力を与えてくれるのだと、この作品は教えてくれているのでしょう。