ホリコと駿もモテメン甲子園に臨むに当たって特別にこれといった理念があるわけではありません。

そうした部を引っ張る強烈な理念がなく場当たり的にモテメン甲子園の対策しかやっていませんでした。

これではパフォーマンスが付け焼き刃にしかならず、見に来る女子高生達の心はとらえられません。

表面上の格好だけでは優勝に持っていくことは実に厳しいのです。

4人の熱意

2つ目に挙げられるのはモテメン甲子園に参加する4人の熱意ではないでしょうか。

時夫たちは最初からやる気があったわけではなくホリコへの好意も一時的に芽生えたに過ぎません。

彼らにはモテメン甲子園に向けて頑張ろうという目先の目標は確かにありました。

でもその活動を通じて自分自身がどのような男性になりたいのか?といった先が見えません。

部員1人1人の熱意が目先のものでしかないのもまた優勝できなかった原因でありましょう。

段取りや情報収集

課題解決のための情報収集術

そして何より部全体として1番足りていなかったのは段取りや情報収集ではないでしょうか。

モテメン部には優勝して借金返済に当てたいというのはあっても、敵チームのことを知りませんでした。

戦いにおいて勝敗を分けるのは7・8割方事前の情報収集並びに傾向と対策にあるといわれます。

この辺りもまともにしていなかったから準決勝や決勝で躓くことになったのではないでしょうか。

準決勝・決勝で5人共観客の意向や敵チームを無視した段取りも何もない場当たり的な戦法に出ました。

そのような当てずっぽうな戦い方をした時点で彼らは負けるべくして負けたのです。

モテることは目的ではない

モテる男だけが知っている心理術

こうして考察を重ねていくと、本作の狙いは実はアンチ擬似恋愛シミュレーションにあるといえます。

どういうことかというと、モテること自体はあくまで目的ではなく結果でしかないということです。

本作はそれを4人の高校生男子が頑張っても結果として報われない所で表現されています。

その意味で本作は根っこの部分が実に厳しい現実的な物語ではないでしょうか。

一見アイドル物語の雰囲気を匂わせつつ、実はそれを後ろからシニカルに冷笑しているのです。

本当にモテる人とは何かを頑張った結果としてモテる人というのが本作のメッセージとなります。

長期目線で物事を見る

イノベーションの長期メカニズム: 逆浸透膜の技術開発史

いかがでしたでしょうか?

本作の最終的なテーマ、それは「長期目線で物事を見る」ことではないでしょうか。

本作は表面上の描写だけを見ると、秋元康と岡田麿里の2人の作家の色が強く出ています。

そしてその作風の異端さ故に芳しくない評価を貰うことが多いようです。

でも実はその時点で既に作り手の術中にはまっているといえるでしょう。

本作が見据えていることはもっと先のモテる為に頑張る人の虚しさやズレを描いています。

その辺りの見極めが出来るかどうかで本作の見え方は変わってきます。

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