真相を全て知った後のことだったのですが、ここで彼が自分に向けて銃を発砲した理由は何でしょうか?

今までの流れと合わせて分析していきましょう。

支配からの脱却

他人を支配したがる人たち:身近にいる「マニピュレーター」の脅威

1つ目にグレイは自分を殺すことで支配からの脱却を果たそうしたのです。

彼が望んだことは真犯人への復讐であって、体を乗っ取られることではありません。

だから自分を撃ち殺すことで支配権を彼に明け渡すまいとしたのでしょう。

不本意な形ではありますが、ステムに支配され無意味な殺戮が行われるよりはマシです。

逆にいうとここがグレイの理性が働いた最後の場面ということになります。

真犯人への復讐

復讐の毒鼓 1 (ヒューコミックス)

2つ目に自分の体に発砲することは即ち真犯人であるステムへの復讐にもなります。

ここが大事なポイントであり、ここでの発砲は決して安易な自己犠牲ではありません。

ずっと真犯人を求め続けていたグレイの復讐の相手が自分の中に居たのですから当然です。

ここで復讐を果たすことで最後に見事消えて亡くなるつもりだったのでしょう。

これで上手く行けば物語として綺麗に収まるはずでした。

生かさず殺さず

結末は何とグレイとステムの主従関係が入れ替わり、ステムが表の人格になったのです。

そして肝心のグレイはもう心の中で妻との安息の日々という幻想に取り憑かれています。

グレイはもう存在しない。彼は心の中に閉じこもり自分が引き継いだ

引用:アップグレード/配給会社:パルコ

何と皮肉なことにグレイもステムも死んではおらず、かといって生きているともいい辛い状態です。

グレイは一生心の中で妻との幸せな幻想を抱いたまま飼い慣らされることになってしまいます。

正に生かさず殺さず精神破壊と乗っ取りという最低にして最高の結末を出しました。

SF映画のアップグレード

UPGRADE英文法・語法問題文法・語法・語い・熟語・会話・発音/アクセント―〈データ分析〉大学入試

考察を重ねていくと、本作が何故『アップグレード』というタイトルかも分かります。

それは本作が過去のSF映画の諸要素から綺麗に上澄みをすくって上品に仕上げた作品だからでしょう。

肉体も精神も滅んではおらず、しかし完全にAIに支配されるという結末は類を見ません。

この結末は今までにない程新しく、またリアリティをもって受け手の心に突き刺さります。

人間とAIのあり方の答えを見事にラストで創出し、新たなSF映画の形としました。

もしかすると、いつか人類の未来はこうなるのかもしれません。

まとめ

アップグレード [Blu-ray]

いかがでしたでしょうか?

本作の結末は非常にシビアで、それまでのどのSF映画にも見当たらないものでした。

復讐劇として始めたはずのグレイの思惑を引っ繰り返してみせる構造がとにかく秀逸です。

そしてまた、用意周到に人の懐へ入り込み巧妙な仕掛けで人心を支配するステムの怖さ

正に本当の悪魔は身近にそっと分からない形で忍び込み、機が熟した瞬間に牙を剥きます。

表面上の硬派さと派手さに反して中身は実にSF的な技巧が凝らされていると気付くでしょう。

そこに気がついたとき、本作がまた違った作品としての見え方をしてくる筈です。

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