映画化によるオリジナルテイストが増えた本作は「自分の可能性を信じなきゃ、何も始まらない。」がキャッチコピー。
これからを生きる若者に向けて取り入れたテーマは、夢を具現化できる小泉譲二の存在があったからこそ成り立ったのです。
将来に不安を抱える紫にとって、自分で未来を決めた天才肌の譲二はまさにヒーローともいえる存在。
繰り返し訴える「自分の足で歩く」というフレーズは、将来を不安視する若者全てに向けられていたのかもしれません。
想いながらも分かれる道
譲二と紫の道は、お互いの夢に向かって歩むことで分かれていきます。
紫は大学受験をしながらもモデルの道を。
譲二は、パリへ留学し新たな服飾の道を切り開くために旅立ちました。
お互いの愛を確認しながらも、お互いの夢を掴むために2人の道は分かれていったのです。
ジョージが渡した指輪の意味
学園祭のファッションショー直前、譲二は紫の指に青くきらめく等身大の勇気をつけます。
蝶は譲二をはじめ、イザベラや実和子、嵐たちが手掛けるオリジナルブランド「パラダイスキス」のイメージアイテム。
紫の左手の薬指で輝く巨大な蝶の指輪は、いったいどのような意味があったのでしょうか。
青く輝く蝶の指輪
ファッションショーにおけるパラキスのドレスのモチーフは、青い薔薇。
大輪の花をイメージしていたのであれば、指輪もそれに合わせて特大の薔薇であるべきです。
しかし、紫の指に付けられたのは青く輝く蝶の指輪。
譲二の分身といえるパラキスのイメージアイテムを意味深な左手の薬指に付ける辺りには、告白じみた意味合いがあったのかもしれません。
ミューズという存在
原作コミックスにおいて、譲二のキャラクターカラーは青。青い髪に青いカラーコンタクトが特徴でした。
ファッションショーのドレスや薔薇が青いのは原作そのものですが、青い蝶を身に着けさせることは譲二の独占欲も表現していたのでしょう。
紫は譲二にとってのミューズ。服を作る人間にとって唯一の存在です。
自分のイメージアイテムである青い蝶を彼女の指に付けたのには、そういった意味合いも込められていたのだと思います。
二重三重の意味が詰まった譲二のセリフ
俺の希望だ。 お前にはこうなって欲しい
引用:パラダイス・キス/配給会社:ワーナー・ブラザーズ映画
譲二は紫の指に指輪をはめながら、こうつぶやきます。
「こうなって欲しい」という譲二のセリフの中には、蛹から蝶になり可憐に羽ばたいて欲しいという意味が込められているのでしょう。
そして、このまま紫を舞台に送り出すかと思いきや、譲二はさらに言葉をつむぎます。
このシーンの譲二のセリフの中には、紫に対してだけではなく観る人にも伝えたい重要なメッセージが込められているのです。
迷うことが悪いことではない
まっすぐになんて歩けなくてもいいんだ。
多少ふらついても曲がっても、それが自分の足ならいいんだ。
引用:パラダイス・キス/配給会社:ワーナー・ブラザーズ映画
舞台に出る直前の譲二の言葉は、モデルとして上手く歩けない紫に向けられていました。
しかし、この台詞にはもっと深い意味が込められていたことが伺えます。