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映画『見えない目撃者』は2011年の韓国映画『ブラインド』のリメイク作品で2019年に公開されました。
監督は森淳一、主演は吉岡里帆や高杉真宙・浅香航大など実力のある若手俳優が中心です。
事故で視力を失った浜中なつめが国崎春馬と共に女子高生の誘拐事件を追うサスペンスとなっています。
元警察官候補生の出身ということもあって警察や盲導犬と共に犯人へ迫っていく様は迫力満点です。
本稿では日下部の犯行動機と吉野との関係性を中心にじっくり考察していきましょう。
また、パルが刺されたことで訪れたなつめの変化なども併せて見ていきます。
女優・吉岡里帆の変化
本作において何よりも大きな特徴として挙げられるのは女優・吉岡里帆の大きな変化です。
吉岡里帆というとグラビアやCMなどで親しみやすい柔らかなキャラと思われがちでしょう。
しかし、本作においてはそのイメージを一切消し去った硬派な演技力が光ります。
特筆すべきは盲目という設定と相俟って目力・眼力であり、真っ直ぐな迫力に溢れているのです。
元警察官候補というキャラがよりその迫力を際立たせ、受け手に強烈な印象を残します。
服装もやや男勝りな渋い色味のかかったものを着ることで余計にストイックに映るのです。
間違いなく吉岡里帆のこれまでのイメージを一新した見事な役作りでしょう。
日下部の犯行動機
物語終盤、犯人は長者町警察所生活安全課・少年係の日下部翔刑事だと判明します。
何と国民の安全を守るべき警察官が一連の誘拐事件の犯人だったのです。
果たして彼は何故こんなことをしたのか犯行動機を考察していきましょう。
儀式殺人の再現
まず本作における誘拐・殺人事件の正体は儀式殺人の再現にありました。
死体からはそれぞれ耳・鼻・口・手といった体の一部が切り取られています。
即ち仏教の六根清浄に基づき目・耳・鼻・舌・身・意を切り取って煩悩を浄化する儀式です。
これを日下部刑事は儀式殺人を使って擬似的に再現しようとしていると木村刑事が判断しました。
つまりは計画的犯行だったというわけです。
事件の目撃者である
2つ目に日下部刑事は当時高校生にして儀式殺人の目撃者であったというわけです。
しかし、これだけで儀式殺人に目覚めたとは考えづらく、元々サイコパスだったのでしょう。
そのサイコパスとして持っていた一面を事件の目撃者となったことで覚醒させたと推測されます。
しかも正体を分かりにくくするために彼は警察官となって逮捕歴など諸々をもみ消しているのです。
正にこれはタイトル通り「見えない」目撃者であり、巧妙に姿を隠して犯行を重ねていました。