三人目の客である木瀬一家。家族が睦まじく過ごす姿は過去のおっこの姿そのものでした。
このように、おっこの前に現れた客は皆おっこの写し鏡のような存在です。
そうした人々との触れ合いがおっこにトラウマを乗り越えさせます。
おっこはを支える人々
おっこが両親の死を乗り越えるには周囲の人々の存在が欠かせません。
周囲の人との出会い
両親を亡くしたおっこですが祖母が、彼女にはまだ祖母がいました。
また、祖母が営む旅館には従業員のエツコさんや康さんがいます。
身内と身内同然に親身に接してくれる人たち。こうした人々の存在がおっこの救いになりました。
特に、血の繋がった祖母の存在がどれだけおっこの心の支えになったか。
水領に「尊敬している?」と聞かれ「はい」と答える場面が表しています。
異世界の住人との出会い
おっこを支えるのは現実の人間だけではありません。
うり坊、美陽、鈴鬼といった面々がおっこを支えました。
特にうり坊と美陽は、おっこに目に見えない世界との繋がりを信じさせる役割を担っていた。
また、彼らの悲しみはおっこに悲しいのは自分だけではないという気持ちをも持たせたと推測できます。
ライバル・真月
おっこのクラスメイトにしてライバルである真月。
何かと突っかかってくる真月ですが、努力家の真月の姿はおっこに旅館の仕事の責任を教えました。
おっこが女将としての自覚に目覚めたのも厳しい真月の言葉あってこそ。
真月の存在が女将の自覚、もっと突き詰めて考えれば生き甲斐をおっこの心に蘇らせたのです。
木瀬に「旅館にお戻りください」と言った理由
おっこの両親の車にぶつかったトラックを運転していたのは木瀬でした。
そんな木瀬になぜおっこは「旅館にお戻りください」と言ったのでしょうか。
両親の死を受け入れたから
木瀬の登場により、おっこは両親が死んだことを認めざるを得なくなります。
これまでどこかで希望を持っていたおっこですが、女将と被害者の立場に挟まれ現実と向き合わざるを得なくなりました。
しかし、その現実と向き合う行為がおっこには必要だった。
この事態に駆け付けてくれた水領。その存在もおっこに勇気を与えました。
両親はいないけど、自分には支えてくれる存在がいる。
それを信じれたからこそおっこは現実を受け入れられたのです。