出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B085PCQXLX/?tag=cinema-notes-22

2020年1月10日公開となったホラー映画『シライサン』は乙一の名前で知られる安達寛高監督・脚本作品です。

主演に飯豊まりえ、助演に稲葉友と若手ながら安定感のある実力派を起用したことで完成度が高まっています。

全国公開ではなく上映館が少ないのが勿体ない程に演出も工夫があり、特に最後の“仕掛け”は見逃せません。

物語は眼球が破裂する不可解な事件で大切な人を亡くした瑞紀と春男が真相を探究しようとする所から始まります。

二人には加藤香香奈という共通の親友がいたことからどんどん逃げられない運命へ近づくことになるのです。

本稿ではエンドロールに隠された秘密をネタバレ込みで考察していきましょう。

また、瑞紀は結果として生き延びられたのかの顛末やシライサンが承認欲求の塊である意味なども読み解きます。

現代版”さっちゃん”

花子さんがきた!!―学校のコワイうわさ (BAMBOO KID’S series)

本作のベースにあるのは「その名前や話を聞いて知った瞬間に呪い殺される」という類の拡散型であるということです。

日本の怪談話でこの系譜は子供向け怪談アニメ「学校のコワイうわさ花子さんが来た!」のさっちゃんでしょうか。

さっちゃんもその噂話を知ってしまった人達を必ず殺すもので、さながら本作は現代版”さっちゃん”ともいえます。

ただ、さっちゃんはバナナという明確な弱点で撃退出来たのに対して本作のシライサンは弱点がありません。

彼女は唯一視線から目を逸らさないことでしかその呪いの恐怖から生き延びられる方法はないのです。

この構造があることを念頭に置いて本作の考察に取りかかりましょう。

エンドロールに隠された秘密

エンドロール (ハヤカワ文庫JA)

パンフレットにも掲載されていましたが、本作ではある”仕掛け”がエンドロールでなされています。

ここではその仕掛けの秘密について、じっくり読み解いていきましょう。

脚本家の名前が間宮冬美

主観的、間主観的、客観的 (現代哲学への招待Great Works)

本来の脚本家は安達寛高なのですが、ここを間宮冬美にしたことで本作をメタフィクションの世界にしています。

即ち本作の物語がシライサンの呪いにかかった間宮冬美の視点でまとめられた物語になっているのです。

こうすることで本作の視点を当事者目線にしつつも同時に「作り話」であると俯瞰した視点で眺めています。

ここで物語そのものの「主観性」と外から見たときの「客観性」のバランスが絶妙に保たれるのです。

映画を映画として成り立たせるには映像のセンスと同時にそれを論理的にまとめ上げる脚本のセンスも必要になります。

そういった一種の遊び心が垣間見えるのではないでしょうか。

次はあなたの番です

次は誰の番?

そして一番やりたかったことは「次はあなたがシライサンの呪いにかかる番です」というものではないでしょうか。

つまり見てくれた観客もまた間宮冬美の物語としてシライサンの存在を知ったことになってしまうのです。

これに関しては上記した「花子さんが来た!」のさっちゃんと同じ効果をここで発揮させたかったと思われます。

さっちゃんの話の時は全国で見ているお茶の間の子供達に必死にバナナの絵を描かせたりバナナを寝床に備えさせました。

そういった感染力を持たせているので、本記事で存在を知った方々も間接的に呪いにかかるかもしれません。

これもまた監督の遊び心が見えるのではないでしょうか。

間宮冬美から見た瑞紀と春男

このエンドロールをもって間宮冬美から見た瑞紀と春男はきっとお互いへの想いを伝えられない人達に見えたのでしょう。

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