出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B005JAENVI/?tag=cinema-notes-22

映画『クライマーズ・ハイ』は横山秀夫の原作小説を2008年に実写映画化した作品です。

原作者が新聞記者時代に遭遇した1985年の日本航空123便墜落事故を題材として製作されました。

群馬県の北関東新聞社に所属する悠木和雅の新聞記者奮闘記が物語のメインテーマです。

御巣鷹山で起きた日航機墜落事故を取材する中で数々の葛藤・決断に迫られていきます。

主演の堤真一や堺雅人を中心とした豪華俳優陣の安定感抜群の演技もあり以下を受賞しました。

第32回日本アカデミー賞
優秀作品賞
優秀監督賞(原田眞人)
優秀脚本賞(加藤正人、成島出、原田眞人)
優秀主演男優賞(堤真一)
優秀助演男優賞(堺雅人)
優秀撮影賞(小林元)
優秀照明賞(堀直之)
優秀美術賞(福澤勝広)
優秀録音賞(矢野正人)
優秀編集賞(須永弘志、原田遊人)

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/クライマーズ・ハイ

本稿ではラストで悠木が安西の息子と谷川岳に登った目的をネタバレ込みで考察していきましょう。

また、悠木が新聞社を辞職した理由やスクープに待ったをかけた意味も併せて見ていきます。

新聞記者の”仁義なき戦い”

「仁義なき戦い」調査・取材録集成

本作最大の見所は新聞記者とは思えない程の迫力と剣幕をもって描かれる”仁義なき戦い“です。

原田眞人監督は本作を「言葉で殴り合う映画」と語る位非常に緊迫した構成になっています。

特に悠木と佐山の演技合戦は並のチンピラやヤクザもビックリの凄まじい迫力です。

主演の堤真一は物凄いオーラのある俳優ですが、それに当たり負けしない堺雅人の胆力も目を引きます。

堺雅人は『半沢直樹』で一躍有名になりましたが、本作ではそのオーラの片鱗が出ているのです。

また、尾野真千子も「やり方が汚ねえ!」と台詞回しの切れ味が凄まじい力を発揮しています。

まるでヤクザ映画でも見ているようなキャラクターの外連味が本作の熱を高めてくれているのです。

作品全体からキャラクターを通して迸る情熱の奥にあるメッセージは何なのでしょうか?

安西の息子と谷川岳に登った目的

山と高原地図 谷川岳 苗場山・武尊山 (山と高原地図 16)

本作の結末は新聞社と訣別した悠木が安西の息子と谷川岳を登るシーンで締めくくられます。

そして最後は安西の息子から自分の息子についてのことを聞かされ、息子に会う決意をするのです。

この登山シーンで物語が締めくくられた目的はどこにあったのでしょうか?

親友との約束

伝説の頭 翔 親友との約束!!編 アンコール刊行 (講談社プラチナコミックス)

まず1つ目に谷川岳への登山はかつて悠木が安西と計画していながら実現しなかったことでした。

不幸にも安西は過密スケジュールによる過労が祟ってしまい脳梗塞で倒れ他界してしまったのです。

悠木はその死を悼む間もなく記者として最前線に立ち続けて戦い続けないといけませんでした。

時が経ち、改めて冷静な頭で安西の死についてじっくり向き合ってきたのではないでしょうか。

新聞記者として戦いの末にボロボロに傷ついた心と体を癒やして登山出来るようになったと窺えます。

擬似的な形といえど、かつての親友との約束を果たそうとしたのです。

息子との再会の予兆

再会 (はるまきごはんVocal ver)

2つ目にここで示したのは長いこと疎遠になっていた息子との再会の予兆を示すためです。

新聞記者という最前線から退いて早15年、悠木は肉体も精神もかなり衰えています。

実際諦めかけましたが、その時に新しい銀色のハーケンを見て奮起するのです。

しかもこのハーケンは悠木の息子が父を助けるために残してくれたものでした。

またここで父を亡くした安西の息子が悠木の背中を押す所にも注目です。

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