出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07G9GHWN9/?tag=cinema-notes-22
映画『オンリー・ザ・ブレイブ』は2017年に公開された伝記映画で、実話を基にした作品です。
監督はジョセフ・コシンスキー、主演はジョシュ・ブローリンを据えて制作されました。
マイルズ・テラー、ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・コネリーら豪華俳優陣が脇を固めています。
題材は2013年にアメリカのアリゾナ州で発生した巨大山火事に立ち向かった消防隊の物語です。
自堕落な生活を送っていた青年マクドナウが精鋭部隊「ホットショット」で立派に成長していきます。
山火事消火の描写も迫力満点で、映画を超えて完全なドキュメンタリーとなっていました。
本稿ではアマンダがマクドナウを励ました真意をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、防火テントに入った理由やホットショットを目指す理由についても併せて見ていきます。
ヤーネルヒル火災
2013年のヤーネルヒル火災は9.11以降最悪の山火事としてアメリカ史に名を残しました。
しかし、自然災害という意味ではポスト3.11(東日本大震災)の方が連想されるでしょう。
地震や火災などで深刻な被害が出た時、常に人間は大自然の脅威の恐ろしさを肌で感じます。
そして事前の防災訓練や避難訓練のマニュアルなど何の役にも立たないことを思い知るのです。
アメリカの消防隊の中でも少数精鋭の者達でさえその脅威の前では無力と化し散っていきました。
果たしてこの悲惨な死を遂げた消防隊達の物語は何を受け手に伝えてくれるのでしょうか?
本作が映画を通して突きつける現実の数々を分析していきましょう。
アマンダが励ました真意
本作の終盤で19名の隊員が死ぬ様を見て自分が死ねば良かったとマクドナウは深い絶望を抱えます。
そんな彼を同じように愛する者を失って悲しい筈のアマンダが励まし優しく抱きしめるのです。
このシーンに込められた真意は何だったのでしょうか?
生き残ったことへの喜び
まず単純にマクドナウが生き残ったことへの喜びを噛みしめているのです。
20人全員が死んでもおかしくない程の大火事で生存者が出たことは奇跡という他はありません。
命あっての物種とはよくいったもので、どんな命も死ぬ時は本当に一瞬なのです。
夫のエリックを亡くしたからこそ余計に命の有難味をここで痛感したのではないでしょうか。
どんな形でれマクドナウが生き残ったことがただただ嬉しいのだと推測されます。
エリックを通じて変わった人たち
2つ目にマクドナウとアマンダはエリックを通じて人生が変わった人たちです。
マクドナウとアマンダ、年齢や性別は違えど生き方自体は似ています。
マクドナウは薬物中毒でアマンダがアルコール中毒、これがエリックを通して変わりました。
アマンダはエリックと出会ったことで女性としての喜びを知るようになります。
そしてマクドナウは消防隊の仕事を通して人生を真剣に生き家族と向き合うようになったのです。
そのエリックを失った悲しみ・切なさ・寂しさをここで共有しているのではないでしょうか。
消防士も人間である
そして3つ目に消防士もまた人間であり、完璧な存在ではないことを示しているのではないでしょうか。