出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B002EBW7WW/?tag=cinema-notes-22
2007年日本で公開された映画『幸せのちから』。
監督は『7つの贈り物』などでも有名なガブリエレ・ムッチーノが務めています。
1980年代のアメリカンドリームを描き出した本作は多くの観客の心をつかみ、ウィル・スミスは第79回アカデミー賞主演男優賞にもノミネート。
キャストには、実子ジェイデン・スミスも出演しており、彼が演じる息子クリストファーの自然な仕草にも注目です。
ここではネタバレを含めながら、クリスの言動を中心に作品を解説していきます。
実話に基づいたサクセスストーリー
まず押さえておきたいのは、この映画が実話に基づいているという点です。
事業の失敗によりホームレスになるまで落ちぶれたが、最終的には成功を掴んだ実在の男性、クリス・ガードナーの半生を描いた作品である。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/幸せのちから_(映画)
証券所の前での運命的な始まりや、トイレで夜を明かす壮絶な場面は、かなり映画的でドラマチックといえます。
しかしそれが、実体験をもとにしたものだと知って観ると、捉え方も変わるはず。
もしかしたら自分にも成功するチャンスがあるかもしれないと、成功を夢見る人たちに刺さる作りになっているといえるでしょう。
タイトルからみる二つの視点
映画の原題は『The Pursuit of Happyness』。直訳すれば「幸福の追求」です。
これが日本公開にあたって「幸せのちから」となったのは、おそらくより親子愛に焦点を当てたためではないでしょうか。
ここではサクセスストーリーと親子愛という両方の視点で作品をみていくことにします。
クリスが掴んだ転機 ルービックキューブの成功が示す意味とは?
注目すべきは、クリスに転機をもたらすことになったルービックキューブ。
これを解いたことが何を意味していたかを考察します。
非凡な才能
舞台は1981年のサンフランシスコ。ルービックキューブは発売されたばかり。
にも関わらず、証券会社の役員トゥイッスルの前ですらすらと完成させていくクリス。
触ったのは数日前にほんの少し、朝のニュースでも漫然と見ていたくらいです。
解くのは難しく 数学教授も
30分かかったほどなんです引用:幸せのちから/配給会社:コロンビア映画
必要なのは学術的な能力でないと、劇中でわざわざ言及まで。
まずこれで、クリスの頭の回転や閃きといったものがずば抜けていることがわかります。
会話からわかるクリスの話術
とはいえ、成功のカギはルービックキューブの巧さだけではありません。
キューブに夢中で話を聞いていないトゥイッスルの気を引くため、クリスは自己アピールからすぐに話題を変えます。
相手の興味を読み取って会話にできる、セールスマンとして素晴らしい才能です。
その後のセールスでも巧みな会話で高い評価を得ているため、クリスの話には人を惹きつける魅力があるのでしょう。