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【三度目の殺人】は、『万引き家族』や『そして父になる』、『海街diary』の是枝裕和監督が脚本も手掛けたオリジナル法廷サスペンスです。
『そして父になる』から4年ぶりの是枝監督と福山雅治主演ということでも話題になった作品です。
こちらの作品ですが、福山雅治演じる弁護士・重盛の感情の移ろいや、役所広司演じる容疑者・三隅の証言、広瀬すず演じる咲江の周囲との関係性などから話の筋が変わっていき、「司法とは?」と考えさせられる作品となっています。
様々な深い闇があらわになっていく中、ラストは視聴者に考えさせるような作りとなっていて、一度の観賞では難しく感じる方もいたのではないでしょうか?
謎に包まれたラストシーンから、現代の司法制度について作品を通して考えてみましょう。
真実を追求することは必要なのか?
初期は真実なんて関係なかった
三隅を担当する弁護士が、摂津から重盛へと変わることでこの物語は始まります。
三隅が求めることは『死刑』を免れることでしたが、過去の罪と今回の殺人によってほとんど『死刑』になるだろうと言われていました。
ここで重盛は、殺人動機を『強盗殺人』から『怨恨』に変えることでの減刑を求めるように動いていきます。
当初の重盛は依頼人からの要求に応じるためなら、真実は二の次と考えていたこともあり、三隅という人間を知ろうとすることもせず、減刑するための証拠集めを行っていきました。
次々に出てくる真実が持つ闇を知った重盛
いざ色々と調べていくと、三隅にも重盛と同様に娘がいることや、三隅によって殺された咲江の父は咲江への性的暴力を行っていたことなどが分かってきます。
三隅が娘のように可愛がっていた咲江の真実を知った時にはじめて、三隅が咲江を守ろうとしていることに重盛は気付きます。
真実を知った上で、咲江を守るために主張する内容を変える三隅を重盛は理解し、減刑をあきらめます。
真実を追求し、知ってしまったからこそ、三隅は『死刑』の判決を受けることとなってしまったのです。
【三度の殺人】のおさらい
一度目の殺人
30年前に三隅の故郷である北海道・留萌にて借金取りの家に放火して殺人を犯しています。
その時に、逮捕や取り調べを行った刑事の話では、「個人的な怨恨は感じられず、空っぽの器のようだった」とのことです。
この30年前の裁判では、重盛の父が裁判長としてこの事件に携わっています。
二度目の殺人
咲江の父である、勤め先の社長・山中光を殺害した今回の中心にある事件です。