これはもう作品世界を超えて作り手が私たちに伝えてくれるメッセージそのものです。

例えばアメリカ同時多発テロ事件や日本の東日本大震災などは昔は架空の世界の出来事でした。

大規模災害や世界の重要都市をピンポイントで狙ったテロリズムが段々現実化しているのです。

ならば聖書に書かれているような内容だって起こってもおかしくないでしょう。

今現実がどんどん創作の世界と区別がつかなくなってきていることを示しています。

母が宗教にはまった理由

人はなぜ、宗教にハマるのか?

本作において1番の疑問は母アイリーンがキリスト教に熱心にはまった理由です。

これが同時に父レイフォードとの心の距離を生む原因になっています。

果たして何故彼女はそこまでしてキリスト教にのめり込むのでしょうか?

父との心の距離

思春期の子と心の距離を感じたときにできる大切なこと

まず1つ目に父レイフォードとの心の距離があったからではないでしょうか。

家を空けることも多く、娘のクローイも既に自立しているのです。

弟と実質2人暮らしという状況では出来ることも限られています。

だからこそ何か自分の趣味や熱中できるものを見つけたかったのでしょう。

つまりアイリーンの心はもう既に夫から離れているものと思われます。

真面目で純粋だから

宗教にはまりやすい人の特徴として真面目で純粋であるという特徴も挙げられます。

母アイリーンは気立てもよく、真面目で家事や教育なども熱心にこなしていたのでしょう。

仕事で家を空けることが多いレイフォードのことも理解して、浮気もしないのです。

しかしそういうしっかり者ほど案外騙されやすく、宗教の道に走りやすかったりします。

それ程に邪念がなく簡単に人についていってしまう人だったのかもしれません。

トランス状態にある

3つ目に母アイリーンはトランス状態にいて、現実を何でも自分に都合良く解釈する人なのでしょう。

いわゆるトップアスリートなどが極限状態に陥るとはまる“ゾーン”に入りやすいタイプだったりします。

娘のクローイが帰ってきたときも自分が祈ったから帰ってきてくれたと主張する人間です。

しかも家でクローイや弟にまで布教しているのですから救いようがありません。

ここまで行くともう脳が既にキリスト教という頭の中で作り上げられた世界に居る状態なのでしょう。

その結果見事なまでに弟共々消滅してしまったのですから、身から出た錆なのかもしれません。

ハティーに謝罪した理由

謝罪の作法 (ディスカヴァー携書)

物語の終盤、レイフォードは両思いであったハティーに妻子持ちであることを明かして詫びを入れます。

当然彼女は怒るわけですが、もっと早い段階にそのことを詫びても良かったのに、何故か機内で行っているのです。

ここではその行動を選択した理由について掘り下げてみましょう。

娘クローイのメッセージ

最初の理由として挙げられるのは浮気を確信した娘クローイから送られた次のメッセージでした。

人生で一番悲しい日よ

引用:レフト・ビハインド/配給会社:クロックワークス

レイフォードは正に浮気しようとしたタイミングでこの言葉を娘から貰ったのです。

一気に浮気しようとしていた所から現実に戻されてしまったのではないでしょうか。

勿論クローイ自体は浮気こそ確信していたものの、それを摘発しようとしたのではありません。

ただ世界が破滅へ向かっているという現実の悲しさが辛くて仕方なかったのです。

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