果たしてこの決意の真相はどのようなものだったのでしょうか?
ダンス以外の全てを捨てる
まず挙げられるのは亡命の決意とはダンス以外の全てを捨てる覚悟でした。
ダンサーとしての自由と引き換えに祖国も家族も何もかもを失うことになるのです。
かといってダンサーの道を選ばなかったらその先にあるのは収容所での地獄の日々でしょう。
前述したようにこの亡命は究極の二者択一であり、他に道はありません。
しかも全く後悔がない辺り、この決意に全くブレがないのです。
空港警察の助け
2つ目に空港警察の助けがあったことがその決意がより強固になったといえます。
KGBの拘束から逃れられるようにし、ヌレエフが1人で居られる時間を与えたのです。
ここで空港警察の助けがなかったら意思が強くても逃げられなかったかもしれません。
決してヌレエフだけではこの亡命は実現し得なかったものと思われます。
そういう意味では空港警察こそ真の立役者なのかもしれません。
人生を支配すること
そして3つ目にこの亡命の決意はヌレエフ自身による人生の支配ではないでしょうか。
前述したプーシキンから彼は次の助言を頂いています。
テクニックより舞台を支配すること、物語を紡ぐこと
引用:ホワイト・クロウ 伝説のダンサー/配給会社:キノフィルムズ/木下グループ
この言葉がヌレエフ自身の人生の全てを支配する言葉となりました。
人生の主役・舞台の主役は誰のものでもなく自分以外にはいないのです。
ヌレエフ自身のダンサーとしての人生の主役は彼以外に誰も居ません。
そう、彼は師の教えをきちんと守り、ダンサーとして世界にその名を轟かせていくのです。
ダンスの王子様
こうして見ていくと、ヌレエフは『テニスの王子様』の主人公・越前リョーマに近いかも知れません。
越前リョーマはテニス以外目もくれないテニス馬鹿で、テニスを除いたら何も残らないでしょう。
それ位体も心も全てがテニスで出来ていて、テニスと人生がイコールで結ばれています。
それをダンスという分野でリアルに体現していたのがルドルフ・ヌレエフではないでしょうか。
彼も幼少の頃からダンスが全ての中心で、ダンスと人生がイコールで結ばれているのです。
だから、異性関係もダンスを通して繋がった縁であり、ダンスがなかったら付き合いはありません。
それ位1つの分野に情熱も才能も全てを注いだからこそ、彼は伝説のダンサーに昇華されたのです。
正にテニスの王子様ならぬダンスの王子様だったのではないでしょうか。
1つを極めること
いかがでしたでしょうか?
本作はヌレエフの半生を通して1つを極めることの尊さ・偉大さを伝えてくれています。
彼に限らず、どんな分野でも一流として結果を残している人は皆そうではないでしょうか。
本当に心から好きなものをとことんまで極め、その道以外考えられない程頑張った結果です。
勿論決して簡単ではなく茨の道ではありますが、何かを極めることで道は必ず開けます。
ダンスでなくても何でもその人が専門馬鹿になれる分野はあるのです。