つまりアカネの母は、25年前に異世界で緑の風の女神だったのです。
母が明るくて綺麗な庭にいたのは、25年前に広がる世界の美しさを知ったからといえます。
ヒントとなる伏線が敷かれていた
アカネは異世界から帰る前に、代々雨王が客人に渡す敷物を貰っています。
この敷物は実は作品冒頭のシーンでアカネの部屋に敷いているマットとしてしっかり描かれているのです。
また600年前に登場した緑の風の女神とアカネの手形が一致するということも伏線といえるでしょう。
アカネは母の在りし日の手形と同じ手をしていたのですが、親子ならば納得です。
更に母の名前がミドリであるということも緑の風の女神の伏線ではないでしょうか。
アカネへのプレゼントの意味
母がアカネに渡したかったプレゼントとは一体何だったのでしょうか。
本作に描かれたプレゼントは母から娘への最高の贈り物となりました。
チイちゃんに頼んである
誕生日プレゼントをチイちゃんに頼んである
引用:バースデー・ワンダーランド/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
上記の母のセリフはアカネをチイちゃんの所へ導く為の口実ですが、あながち嘘でもありません。
チイちゃんは好奇心旺盛できっとアカネと共に行くだろう、と母は予想していたのではないでしょうか。
ちなみに、チイちゃんの骨董屋の置物の中にクレヨンしんちゃんがありました。
このシーンは原恵一監督のファンサービスのシーンであり、映画を観る楽しみの1つでもあります。
娘を信じる想い
母は自分の体験したことが宿命であり、また娘のアカネにもその宿命が訪れることを知っていたのではないでしょうか。
そして、それが起こるとしたら今だということを察知していたのでしょう。
できっこない
引用:バースデー・ワンダーランド/配給会社:ワーナー・ブラザース映画
アカネの口癖や、後ろ向きな生き方…。
もしかしたら母ミドリも以前はアカネのような生き方をしていたのかもしれません。
だからこそ、娘アカネを信じて送り出したのではないでしょうか。
娘は変わることが出来る、という信じる心をアカネに贈ったのです。
広がる世界観と美しい世界
母はアカネが小さなことに捕らわれて、悩んでいると感じていました。
狭く暗い世界観の中に閉じこもってしまえば、世界の美しさに気づくことが出来ません。
学生は生きる世界が狭くなりがちで、学校が世界の総てになってしまうことがあります。
母は、世界の広さをアカネに知って欲しかったのではないでしょうか。
そして本当の美しさは心の中にあることをわかって欲しかったのです。
だからこそ、ワンダーランドへの冒険を娘に贈ったのでしょう。