車にいやがらせを散々してきたマリオの車を川底に落とした時点で、そのまま過ぎ去れば良かったのです。
あの瞬間、ディエゴは押してはいけない負のスイッチを押します。つまり、自分が優位になった途端強気になってしまったのです。
そうして引き返してしまったのがために、共に死んでしまうという大きな結果を生み出しました。
小さな選択が、大きな人生のスイッチだったわけです。「パンク」は、その最たるストーリーなのでした。
ダイナマイトを仕掛けたらハッピー!?
「タイヤ」の対となるストーリーが、「ヒーローになるために」のダイナマイト解体工シモンのストーリーでした。
このストーリーで、人生のスイッチを押した(ダイナマイトを車に仕掛けた)シモンは、最後にハッピーエンドを迎えます。
同じ押してはいけないスイッチを押した、シモンとディエゴなのに、終わり方が真逆なのです。
シモンの小さな選択は、よく分からず駐車禁止の場所に車を止めてしまったこと。
つまり、小さな選択がとてつもなく大きな結果を生むことを表しているのです。これがスイッチを押すことの影響。
それがプラスに出るかマイナスに出るかは、分かりません。対のエンディングを用意することで、これらが表現されているのです。
スイッチを押した人間は止まらない
先述しているように、小さな選択が大きな結果を生むことからも、その小さな選択が「人生のスイッチ」なのです。
本作では、そのスイッチを押した人間がどうなるかというと「止まらなく」なります。
押さないの?じゃあ、私が押すよ
「おもてなし」で出てきた登場人物の中で、押してはいけないスイッチを押したのは料理人の中年女性でしょう。
猫いらずを食事に混ぜるかどうか迷い、ウェイトレスは混ぜない決定をしました。しかし、中年女性の方は押したがります。
つまり人の選択の瞬間(スイッチ)は、他の人にも見える恐ろしいスイッチなのです。
また、ウェイトレスの方も一度は諦めたのに、もう一度猫いらずに手を伸ばそうとします。
人生のスイッチはそれほどまでに、人を誘発する効果があるのです。その誘惑に負けた中年女性は、止まりませんでした。
結局元やくざで、政治家を目指していたクエンカは包丁で串刺し、息子は猫いらずの毒で気を失います。
それほどまでにスイッチを押した人は、止まらなくなることも表現されているのです。
スイッチ押しまくりのストーリー
6つのストーリーの最後を締める「Happy Wedding」は、まさに押してはいけないスイッチを押しまくったストーリーでしょう。
浮気相手を結婚式場に呼ぶ新郎。それを見抜いて屋上で不倫をする新婦。浮気相手をガラスにぶち当てる新婦…
スイッチの連鎖が止められず、結婚式中に離婚が成立するかと思いきや、周りも付いていけない中最後には仲直りしています。
特にこのストーリーでは、一度不倫をするというスイッチを押した新婦が止まらない様子が描かれています。
やはりスイッチを押した人間は、ある意味暴走するのです。さらには、次なるスイッチを呼び込みそれをためらいもなく押します。
人生の「押してはいけない」スイッチを押した人物は、止まらなくなる。これを作品内で表現されていたのです。
スイッチは他の人を巻き込む
スイッチは周りにいる人を巻き込みます。それが、プラスとなるかマイナスとなるかは、これまたケースバイケース。