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1979年に公開された『チャンス(英題:Being There)』。
主演のピーター・セラーズは実力派コメディ俳優として知られ、本作でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞しました。
本記事が執筆された2019年時点でちょうど40年前の映画になります。
その根強い人気から2009年には『チャンス 30周年記念版』がブルーレイディスクでも販売されました。
そんな『チャンス』を今回は徹底考察し、ブルーレイ版に収録された「もう一つのエンディング」もご紹介します。
チャンスはどうして周りの人を幸せにできたのか
チャンスの純粋無垢な心
『チャンス』の物語を観てわかることは、チャンスがあらゆる人々を幸福にしたことです。
なぜ、チャンスは人々を幸せにできたのか。
これはチャンスが、全く曇りのない純粋無垢な心を持っていたからです。
疑うことを知らないチャンスの純粋な心は、周りの人を安心させ、人々を無意識のうちに肯定し続けたのです。
当時は、アメリカとソ連による冷戦の真っ只中であり、人々は戦争の行く末に不安を抱いていました。
現代の資本主義社会の中で、それも特にお金を儲けている人が、純粋に人を信じることなどなかなかできません。
しかし、チャンスの人を疑うことを知らない純粋さは人々を安心させ、自然と人々を幸福にしたのです。
チャンスはなぜ純粋無垢だったのか
では、なぜチャンスは人を疑うことを知らない純粋無垢な心を持っていたのでしょうか。
チャンスの純粋さには2つの理由があります。
それは「主人が死ぬまで家の外に一度も出たことがなかったこと」「自然を愛していたこと」です。
前者に関して、社会に出たことがなかったチャンスは、まるで社会を知らない赤ん坊のようでした。
生まれた赤ん坊が疑うことを知らないように、チャンスは社会を知らなかったので人を疑うことも知りませんでした。
後者の「自然を愛していたこと」に関して、チャンスは庭師として主人の家でずっと働き続けていました。
庭師として自然と深く関わるようになったチャンスは、人間も自然の一部だと考え、人間を自然のように愛したのです。
チャンスとベンの関係を考察
なぜベンはチャンスを気に入ったのか
ベンはチャンスのことを最も気に入っている登場人物でした。
ベンと大統領の会合にチャンスを同席させ、自らの死に際に妻のエヴァをチャンスに託そうとしました。
ベンがチャンスをこれほどまでに気に入った理由。
それも、チャンスがベンの周りにいない、純粋な心の持ち主だったからです。
ベンは経営者であったため、常に人を疑うとまではいかなくとも、全ての人を心から信じることはできませんでした。
またベンほど財産を持っている人間であれば、自らに近づいていく人には私心があるのでは疑っても仕方のないことです。
しかし、チャンスには何の企みもありませんでした。