病気であることを告げなかったのは、病気と向き合うことから逃げていたため。
自分が倒れるその時まで、彼は病巣という現実から目を背けていたのです。
エオルゼアという世界が与えた影響
ファイナルファンタジーXIVのプレイヤーたちは皆、エオルゼアという大陸の一員となりファンタジーライフを過ごします。
冒険だけではなく、釣りや料理といったスローライフを過ごせるのもオンラインゲームの魅力。
仕事と病気に悩む父も、現実とは違う世界で架空のひと時を楽しんでいたのです。
生活の一部となるファンタジーライフ
ゲームプレイは徐々に暁の生活の一部となっていきます。
会社を辞めて時間が余っていた父は自分のペースで冒険を楽しみ、どんどんとゲームの世界にハマっていきました。
チャットを通して仲間を増やした彼は、ゲームの中でもう1つの人生を謳歌していたのです。
日常のしがらみからかけ離れた世界での冒険は、暁の現実逃避でもあったのかもしれません。
仲間と協力しながらボスを討伐する日常は、簡易的な目標に向かって挑む手ごたえと楽しさを与えたのです。
リアルと非現実の狭間にある世界
オンラインゲームでは冒険者全てが実在するプレイヤーです。
そのため、ファンタジー世界の冒険も人との交流は現実世界と同じようにリアルタイムで進行。
現実と非現実の狭間でプレイするゲームは、まさにもう1つの人生ともいえるでしょう。
アキオが親孝行としてプレゼントしたゲームは、1人では鬱々としたかもしれない暁の人生を大きく変えました。
オンラインゲームとの出会いがあったからこそ、彼は退職後の人生を謳歌し、新たな視点で物を見られるようになったのです。
相手を知らないからこそできた相談事
オンラインゲーム内で知り合う仲間は、実際の名前も姿も年齢さえも知らない人たちです。
幅広い年齢層がプレイできるためぶつかり合うことがある反面、仲間との連帯感を感じられるのも魅力です。
ファンタジーライフというだけあり、戦い以外の時間をゆったりと過ごすことも可能。
現実の自分との繋がりが無いプレイヤーだからこそ、人の目や噂を気にせずなんでも話せる仲間となったのでしょう。
息子からの対話
仕事で行き詰まりを感じたアキオは、人生の先輩として父親にアドバイスを求めました。
しかし、その対話の場所は現実の自宅ではなくエオルゼアの世界。
父に似て口数が少なく不器用なアキオは、マイディーというキャラクターで父に悩みを話したのです。
真摯に回答する父の姿は、アキオに父の背をもう一度見つめなおす機会を与えたのでしょう。
暁の言葉は、仕事へのアドバイスと共に、優しい父との記憶を思い出すきっかけにもなったのです。
父の本音
アキオが会社の悩みを打ち明けたように、父もまた娘との問題をマイディーに相談します。