1人ではなく複数の赤ちゃんを殺して埋めていたことから、美佐緒自身が相当な穢れ(呪い)を抱えていたことが考えられます。
彼女は長屋を取り潰すときに千葉に移住しており、乳児殺人の事実はそこで事実が発覚していました。
しかし、長屋時代もしくは長屋に住む前から同様のことをしていたと考えると、彼女が移り住んだ場所は全て穢れているのかもしれません。
赤ちゃんの泣き声が与えた影響
残穢に関わった人々はさまざまな呪いによって死亡しています。
しかし、赤ちゃんの泣き声が直接的な死因となったのは、判明している限り高野トシエだけです。
彼女は止まない赤ちゃんの声によりノイローゼになり、結果自殺しました。
その後の呪いの主力になってしまうトシエではありますが、彼女もまた穢れによる被害者だったのです。
原作小説との違い
「残穢」は連なる呪いが形の見えない恐怖を感じさせる作品です。
原作小説と映画のどちらからも背中がぞくりとするような恐ろしさを感じますが、映画化には原作には無かった恐怖が盛り込まれていました。
ラストシーンの違い
原作小説の「残穢」では、「私」が呪われたという明確な描写はありませんでした。
一通りの調査を終えた「私」は、それを1つの経験として作家活動に生かすとともに日常に戻っていきます。
「残穢」の調査も執筆活動の合間に行うなど、仕事の合間の謎解きのように淡々と行っていました。
映画では、調査メンバーへ呪い描写がハッキリと描かれているのが特徴です。
高野トシエの姿を視認できるだけではなく、編集室で田村を襲う黒い存在。
なにより大きな違いは、呪いを受けなかった「私」と受けてしまった「私たち」でしょう。
ラストシーン後に呪いに見舞われるような終わり方をしている辺りは、原作とは大きく異なります。
追加された登場人物
読者の久保さん以外、調査に携わるメンバーはほぼ映画オリジナルです。
登場人物が少なく淡々と展開する原作に比べ、心霊マニアの三澤(坂口健太郎)などを出したことで物語に緩急が生まれました。
編集の田村と三澤が呪いを受けるシーンは、原作には無い恐怖を強く演出している部分です。
原作で今後どこかでも続く残穢という形で締めくくられるラストと違い、呪いの具現化はリアルな恐怖を描いていました。
新たに増えたキャストたちは、物語に深みをプラスしただけではなく恐怖のスパイスにもなったのです。
理不尽な呪いに恐怖するジャパニーズホラー
『残穢 -住んではいけない部屋-』は、連鎖する不明瞭な呪いが恐怖を生むホラー映画でした。
作家である小野不由美が自身の経験や読者からの手紙を参考にしていることもあり、リアリティを感じさせるのが魅力。
解決策を見出せない終わり方は、まさに「事実は小説より奇なり」という言葉がぴったりです。