上記したように新聞記者・ジャーナリストは社会的真実を暴くことにその目的があります。

しかし、日本では同調圧力だとか暗黙の了解だとかで見逃してはいけない部分を見逃すのです。

そんな臭いものに蓋をする日本のジャーナリズムの体制自体が問題であると指摘しています。

望月記者は何より日本社会に残る悪しき風習と新聞記者の仕事を通して戦っているのかもしれません。

圧力に屈しない理由

同調圧力 (角川新書)

こんな風にとことんまで自分を貫く記者ですから、世間からは当然悪し様にいわれます。

時には殺害予告すらもされてしまいますが、望月は一切意に介しません。

彼女が圧力に屈しない理由を掘り下げていきましょう。

i=個人の物語

私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)

1番の理由は最後で語られましたが、タイトルにもあるようにi=個人の物語だからです。

ここが非常に面白い所で、望月にとっては自身の政治的スタンスなど問題ではありません。

右か左か、自民か民主か、ナショナリズムかリベラリズムか…そんなことは枝葉末節です。

あくまでも個人の視点で疑問を発し、声を上げて追求していくことに彼女の使命があります。

だから、圧力をかけられることなど望月にとっては瑣末なことでしかないのでしょう。

東京新聞社会部の同僚達の力

2つ目に望月の職場である東京新聞社会部の同僚達の力添えが大きいのではないでしょうか。

基本的には個人のスタンスで戦うとはいえ、大きな権力に立ち向かうのに1人では限界があります。

インタビューなどでも度々公言なさっていますが、望月の支えとなっているのは会社の力です。

彼女の尖った異端児ぶりを異端としてではなく「個性」としてしっかり認め評価しています。

その後ろ盾があるからこそ、望月は記者として迷うことなく自分の使命に真っ直ぐに戦えるのでしょう。

読者・視聴者達の声

そして3つ目に望月のそんなスタンスを見て応援メッセージを届けてくれる読者・視聴者達の声です。

彼女は決して自分勝手な戦いを行っているのではなく、常に無力で無実な国民の期待を背負っています。

とはいっても数の多寡ではなく、真実を明かして欲しいと望む国民達の期待の声ではないでしょうか。

そうした国民の期待に応える革命児の役割を望月はもって生まれてきたのだと思われます。

寧ろ圧力があればあるほど超えてやるという意思の強さこそが原動力です。

パリ解放写真の意味

パリ解放 1944-49

望月にインタビューした森はとうとう警官によって講堂の前すら通して貰えなくなります。

その後パリ解放の写真が挿入される形で物語はやや切ない形で終わってしまうのです。

この写真には何の意味があったのかを掘り下げていきます。

個人の自由は国家の管理下にある

不安な個人、立ちすくむ国家

1つ目に挿入されたパリ解放の写真はドイツ兵の男性に恋したフランス人の女性でした。

国境を越えて恋したばかりに頭を丸刈りにされた挙句罵声を浴びながらパリを歩かされたのです。

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