しかし、出世や名誉と引き換えにビンとの結婚という最も欲しかったものを手放したのです。

その代償が余りにも大きいものであったことをこのシーンでは示しているのでしょう。

無償の愛などない

無償の愛、後藤新平、晩年の伴侶 きみ

そして、この結末に示されている1番の真意は「無償の愛などない」ということでしょう。

ビンとチャオの関係は確かに最初こそ「愛」といえるものだったのかもしれません。

しかし、裏社会の義理と筋を通しながら生きると決めた時点で2人の関係は無償ではないのです。

やはり生活していく以上お金はかかりますし、お金が切れればそこまでの関係となります。

だから、お金のかからない無償の関係になった時点で2人の愛は成立しなくなるのです。

大人の愛は基本有償のものであることをこの別れの表情が示していると推察されます。

UFOの出現が与えた作品への影響

ウォーク・オン・ウォーター

物語の後半、チャオは大同を目指す旅路の途中で誰も歩いてない街でUFOを目撃します。

本作では珍しいファンタジックな演出であり、どのような影響を作品に与えたのでしょうか?

感情の喪失

感情喪失時代

まずこのUFOの出現で大きな変化が出たのはチャオの感情の喪失ではないでしょうか。

前述したように、チャオは終盤ビンに対して何の感情も抱かなくなります。

これは彼女に問題があったのではなく、信じていたビンにから裏切りを食らったからです。

チャオが罪を被って服役しながら頑張ることが出来たのもビンとの再会を信じてのことでした。

それが一気に裏切られ、彼女の精神はその拠り所を失ってしまったのです。

だからUFOを見ても何も驚かないような無機質な女性になってしまいました。

冷徹な仕事人になる

2つ目に感情の喪失を経験したことで一気にチャオは冷徹な仕事人へと変化していきます。

男達からお金を騙し取っても、車椅子生活になったビンを見ても何も感じない程になりました。

11年という月日がチャオをいつの間にかビジネスの為なら何でもやる合理主義者へ変化させたのです。

それは演じるチャオ・タオの表情に出ており、どんどん人間味が希薄化していきます。

仕事人としては成長といえるのかもしれませんが、これでは単なる仕事をこなすだけのマシンです。

恋人ではなくなった

そして3つ目に2人の関係性が恋人ではなくなり、前述した切ない別れへと繋がっていくのです。

チャオとビンは恋人でなくなっても、ビンとはどこかで一緒にいられると思っていました。

だからこそラストは友達のように穏やかに接したのでしょう、あれだけの裏切りがあったのに。

しかし、感情の喪失まで経験し物理的にも精神的にも離れた男女が一緒にいられるなど虫の良すぎる話です。

そう考えると、UFOの出現はラストの切ない別れを伏線として暗示していたのかもしれません。

2人のその後

あの日、好きになって 470 日~恋愛リアリティーショーのその後の話

時の変化によって完全に分断されてしまったチャオとビンの関係性は自然消滅で終わりました。

果たして2人のその後はどうなっていくのでしょうか?物語の流れから読み解きます。

今生の別れ

今生の別れ…かも

物語の流れや考察を踏まえていくと、2人のその後は今生の別れではないでしょうか。

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