こうした人間性への配慮もしていた辺り、ボスが如何に素晴らしい上司かも伝わってきます。

命や平和の尊さを学ぶ

3つ目にアキラとヨウコに命や平和の尊さを学んで欲しかったのではないでしょうか。

戦いがない世界の中で友達を作って普通の食事を知り、殺さないことで命の尊さを知ります。

それまで殺しが当たり前だった2人にとっては逆に新鮮で革新的なことだったのでしょう。

実際に後半にかけてどんどん2人は命の重さや平和の尊さ、友情の有難味を知っていくのです。

だからこそボスは1人でも殺したらアキラとヨウコを容赦なく殺すと脅しをかけました。

ミサキという友達を作り表情や言葉も柔らかくなっていく2人の変化が感じ取れます。

ファブルは普通に生きられた?

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ボスの命令によりアキラとヨウコは一般人として1年間生きることになりました。

果たしてその目論見通り、ファブルは普通の高校生として生きられたのでしょうか?

成功

成功しなきゃ、おかしい

結論からいえば、目論見は成功しファブルこと佐藤アキラとヨウコは普通に生きられました。

流石にトラブルと無縁とは行かないまでも、ボスの命令を遵守し誰1人殺していません。

友達を救う過程で自分が任務で簡単に奪っていた命の重さを実感したからです。

ミサキと3人で秋刀魚を食べながら「平和だなあ」と呟くラストにそれが凝縮されています。

この時のアキラとヨウコの表情は非常に穏やかで殺伐さの欠片もありませんでした。

底辺に身を置いたこと

この目論見が成功した秘訣は底辺に身を置いたことにあるのではないでしょうか。

アキラはミサキとの出会いがきっかけでデザイン会社オクトパスの雑用係となりました。

そこでまず自身を1度底辺に置き頑張ったことが大きな経験となったのです。

様々な人間がいることや食事の中で猫舌であることを知ったりしていきます。

他愛ない日常の積み重ねがアキラの人間性に豊かさと深みをもたらしました。

ボスと海老原の狭間で

そしてアキラとヨウコを成長させた最大のチャンスは海老原との取り引きでした。

小島とミサキを救う為にお世話になった海老原の協力を快諾するのですが、ここが問題です。

海老原はここで「殺せ」という命令を下しますが、アキラはボスとの約束から殺しは断ります。

そう、ボスの約束と海老原の協力とで葛藤しつつアキラは愚直に不殺を貫き通しました。

決してただの指令を遂行する駒ではなく、自身の判断力で動く主体性を養っているのです。

この段階を潜り抜けることでアキラも本当の意味での「プロ」に1歩近づけたと推測されます。

海老原が小島の頭を撃ち抜いた理由

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アキラとヨウコは小島とミサキを救い出しましたが、海老原は小島の頭を撃ち抜きました。

それまで腹心の部下であった彼を躊躇なく殺した理由は何だったのでしょうか?

不義理の連続

1番の理由はけじめであり、小島は余りにも海老原の顔に泥を塗る不義理を働いていたのです。